- 宛先を間違えて送ってしまったことが、年に何回かある
- 「送信前に確認しましょう」と周知しているが、減っている実感がない
- BCCに入れるべき宛先を、TOに入れてしまったことがある
- 起きたときに誰に報告すればいいか、決まっていない
注意喚起で減らないのは、注意力の問題ではないからです。誤送信が起きる場面はほぼ決まっているので、場面ごとに手当てすると数が減ります。
誤送信が起きる場面は、4つです
| 場面 | よくある形 |
|---|---|
| オートコンプリート | 途中まで打ったら、似た名前の別人が出てきて、そのまま送る |
| 返信・転送 | 社内向けのやりとりを、そのまま社外に転送してしまう |
| 一斉送信 | BCCに入れるべき宛先をTOやCCに入れて、全員に他の宛先が見える |
| 添付ファイル | 前の案件のファイルを付けたまま送る/別の会社向けの資料を送る |
手当てのしかたが、それぞれ違います。「気をつける」で全部をまとめて解決しようとするから減りません。
1. オートコンプリートへの手当て
いちばん多い原因です。
履歴を消す
Outlook のオートコンプリートの候補は、過去に送った宛先が自動でたまったものです。退職した相手や、打ち間違えたアドレスも残ります。
- 候補の一覧から、使わないものを削除する(候補の横の × で消せます)
- 年に1回、候補を全部リセットするという手もあります
「あの人に似た名前の人が候補に出る」状況を、まず物理的になくします。
宛先を「入力」させない
よく送る相手は、連絡先か配布リストから選ぶ形にしてください。打たないので、間違えません。
- 部署や案件ごとに配布リスト(グループ)を作る
- 個人の連絡先ではなく、組織で共有する連絡先に登録する
2. 返信・転送への手当て
社内のやりとりを社外に転送するときの事故です。これはルールで防ぎます。
転送するときは、新規メールを作り直す。
面倒に聞こえますが、社内のやりとりが全部ぶら下がったメールをそのまま社外に送るのは、内容の面でも危険です。引用が必要なら、必要な部分だけ貼る。
これを「原則」にしておくと、判断に迷わなくなります。
Microsoft 365 なら、外部の宛先が含まれるときに警告を出す設定ができます(外部受信者の警告、メールヒント)。件名や本文に「社外」と表示されるだけでも、手が止まります。設定は情シス側で数十分です。
3. 一斉送信への手当て
BCC漏れは、起きたときの被害が大きいわりに、防ぎ方が単純です。
そもそも、メールで一斉送信しない
宛先が10件を超えるなら、メール以外の方法を検討してください。
- 社内向け → Teams のチャネル、社内ポータル
- 社外向け → メール配信サービス(1通ずつ個別に送られます)
「BCCに入れる」という手順が存在しなければ、BCC漏れは起きません。
どうしてもメールで送る場合
- 宛先を入れるのを最後にする(本文と添付を完成させてから、宛先を入れる)
- 自分をTOに入れて、全員をBCCに入れる
- 送る前に、別の人にダブルチェックしてもらう(件数が多いときだけ)
1番目は効きます。宛先が入っていない状態なら、誤って送信ボタンを押しても飛びません。
4. 添付ファイルへの手当て
- 添付を先に付けてから、本文を書く(付け忘れ防止にもなります)
- 送る前に、ファイル名を声に出して確認する
- 大きいファイルや複数のファイルは、添付ではなく共有リンクにする
共有リンクにすると、間違って送っても、アクセス権を切れば開かれません。添付は送った時点で取り返せませんが、リンクは止められます。これは大きな違いです(パスワード付きzipをやめたいが取引先がある)。
送信を数十秒だけ遅らせる
Outlook には、送信ボタンを押してから実際に送信されるまで遅らせる設定があります(仕分けルールで「◯分後に配信」)。
- 1分に設定すると、押した直後に気づいて止められます
- ただし、全部のメールが1分遅れます。急ぎのやりとりが多い業務では、かえって不便になることがあります
まず1週間試して、業務に合うかを見てください。合わない部署に強制すると、ルールごと無視されるようになります。
起きたときの手順を、先に決める
これがいちばん抜けています。起きてから考えると、報告が遅れます。
A4半分で足ります。
- 気づいたら、すぐ上長と情シスに連絡する(メールでなく口頭か電話で。時間が勝負です)
- Microsoft 365 なら、メッセージの取り消し(リコール)を試す。ただし相手が既読なら効きません
- 相手に連絡して、削除を依頼する(誰が連絡するかを決めておく)
- 内容によっては、個人情報の漏えいとして報告が必要になる場合があります。判断する人を決めておく
- 記録を残す(いつ、何を、誰に、どう対応したか)
4番は法令に関わります。個人データの漏えいは、内容によって個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になることがあります。判断は法務か顧問弁護士に確認してください。ここを空欄にしないでください。
この流れを1枚にしたものを資料室に置いてあります。誤送信のほか、不審メール・端末の紛失・ランサムの初動も入れてあります。
報告が遅れる最大の理由は、怒られると思っているからです。5分で報告されれば取り消せる可能性がありますが、翌日では手遅れです。「誤送信そのものより、報告が遅れることのほうが問題です」と、はっきり伝えておいてください(不審メールの訓練より先に、やることがあります)。
数える
対策をしたら、件数を数えてください。
- 月に何件起きたか(ヒヤリを含む)
- どの場面だったか(上の4分類)
分類が分かると、次にどこを手当てするかが決まります。「注意します」で終わらせず、数字を残してください。
まとめ
- 注意喚起では減らない。場面ごとに手当てが違う
- 場面は4つ。オートコンプリート/返信転送/一斉送信/添付
- オートコンプリートは履歴を消す、そして打たずに選ぶ
- 転送は新規メールを作り直す。必要な部分だけ貼る
- 外部宛ての警告を有効にする(情シス側で設定できます)
- 一斉送信は、そもそもメールでやらない。10件超えたら別の手段
- 送るなら宛先を最後に入れる
- 添付は共有リンクにすると、間違えても止められる
- 送信を1分遅らせる設定は試してから入れる
- 起きたときの手順を先に決める。特に「誰が判断するか」
- 「報告が遅れることのほうが問題」と明言する
- 件数と場面の分類を数える
まずオートコンプリートの候補を見直すところからで構いません。10分で終わって、いちばん多い原因に効きます。
この記事で使うシートを配っています
事故が起きたときの初動シート(A4一枚)
不審メールを開いた/メールを誤送信した/端末をなくした/ファイルが暗号化された、の4つについて、最初にやることを順番に書いたシートです。空欄を埋めて印刷し、見えるところに貼る前提で作っています。
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