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クラウドに置いたから安心、ではない

SharePointやOneDriveにあるから大丈夫、と思っていると、消したファイルが期限切れで消えます。何が守られていて何が守られていないのかを、実務の目線で整理します。

読了 約4分 バックアップひとり情シスSharePoint

「バックアップは取っていますか」と聞くと、こう返ってくることが多いです。

「クラウドに置いているので大丈夫です」

半分は合っていて、半分は違います。そして違うほうで事故が起きます。

クラウドが守ってくれること

Microsoft 365(SharePoint / OneDrive / Exchange)に置いてあるものは、これらから守られています。

  • サーバーの故障(複数箇所に複製されています)
  • 建物ごとの災害
  • PCが壊れた・盗まれた(データはPCの中に無いので)
  • 上書きしてしまった(バージョン履歴から戻せます)

ここは、社内のファイルサーバーより明らかに強いです。

クラウドが守ってくれないこと

問題はこちらです。

1. 人が消したものは、期限が来ると本当に消える

ごみ箱に入りますが、保持される期間には上限があります。その期間を過ぎたものは、通常の方法では戻せません。

「半年前のあのファイル」を探そうとして無い、というのはここです。

2. 退職者のデータは、アカウント削除後に消える

これがいちばん多い事故です。退職者の OneDrive には業務のファイルが残っていますが、アカウントを削除すると一定期間後に中身も消えます。

対処は退職者のアカウントが残っている、を仕組みで止める に書きましたが、要点は在籍中に共有の場所へ移してもらうことです。

3. 間違った内容で上書きされ続けた場合

バージョン履歴は万能ではありません。保持される版の数には上限があるので、気づかないまま何十回も上書きされると、正しい版まで遡れなくなります。

4. 消したことに気づかない

いちばん厄介なのがこれです。誰かがフォルダごと消しても、すぐには誰も気づきません。気づくのは、それが必要になった日です。そのとき、すでに期限を過ぎていることがあります。

5. ランサムウェア

PCが感染して、同期しているフォルダのファイルが暗号化されると、その状態がクラウドにも同期されます。バージョン履歴から戻せることが多いですが、ファイル数が多いと復旧はかなりの作業になります。

では、どうするか

大掛かりな話ではなく、順番に潰していけば足ります。

第1段:保持期間を把握して、必要なら延ばす

まず現状を知ります。

  • ごみ箱の保持期間はどうなっているか
  • 削除したアカウントのデータは、どのくらい残るか
  • バージョン履歴は何版まで残るか

管理画面で確認できます。既定のままで足りるかを、一度だけ判断してください。足りないなら設定で延ばせることがあります(プランによります)。

第2段:消えて困るものを決める

全部を守ろうとしないのがコツです。守るものを決めます。

  • 契約書、図面、規程 … 消えたら再作成できない
  • 会計・請求のデータ … 法定保存の要件がある
  • 顧客とのやりとりの記録

逆に、作業中のファイルや過去の資料は、消えても再作成できることが多い。「消えたら再作成できないもの」だけを守ると考えると、対象がぐっと減ります。

第3段:重要なものだけ、別の場所に置く

守ると決めたものは、Microsoft 365 の外にも1つ置きます。

やり方はいくつかありますが、費用をかけない範囲なら、

  • 月1回、対象フォルダを外付けHDDにコピーする(手作業でも構いません)
  • コピーは世代を分ける2026-04 2026-05 のようにフォルダを分ける。上書きしない)
  • 外付けHDDは、常時つなぎっぱなしにしない(つなぎっぱなしだと、ランサムウェアの影響を受けます)

原始的ですが、「別の場所に、つながっていない状態で置く」というのがバックアップの本質です。クラウドの中で複製を増やしても、消す操作は全部に伝わります。

有償のバックアップサービスもあり、規模が大きいならそちらが確実です。ただしまずは対象を絞ることが先で、絞れば手作業でも回ります。

いちばん大事なこと

バックアップで本当に大事なのは、取ることではなく戻せることを確認しておくことです。「取っているはずだったが、戻そうとしたら壊れていた」は、実際に起きます。年1回、1ファイルでいいので実際に戻してみてください。5分で終わります。

第4段:消えたことに気づける形にする

  • 重要なフォルダは、権限を絞る(消せる人を減らす)
  • 大量削除が起きたときに管理者に通知が飛ぶよう設定できるなら、しておく
  • 定期の棚卸し(年2回)のときに、重要フォルダの件数を記録しておく

件数を記録しておくと、次回に「減っている」ことに気づけます。手間はほとんどかかりません。

まとめ

  • クラウドが守るのは機器の故障・災害・端末の紛失・上書き
  • 守らないのは人が消したもの(期限あり)・退職者のデータ・気づかない削除・ランサムウェア
  • 保持期間を一度確認する。既定で足りるかを判断する
  • 「消えたら再作成できないもの」だけを守る対象にする
  • 対象は Microsoft 365 の外に、世代を分けて、つなぎっぱなしにしない場所へ
  • 年1回、実際に1ファイル戻してみる。これが無いバックアップは、あるとは言えません
  • 重要フォルダは権限を絞り、件数を記録しておく

「うちの保持期間がどうなっているか分からない」から始めても構いません。確認するところまでご一緒できます。

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