棚卸しをすると、必ず出てきます。
- 3年前に辞めた人のアカウントが生きている
- 退職者が共有フォルダの所有者になっている
- 誰のものか分からないアカウントが数個ある
- 退職者のOneDriveに、業務のファイルが残ったままになっている
これは担当者が忘れっぽいから起きるのではありません。人事の情報が情シスに届く仕組みがないから起きます。届いていないものは処理できません。
まず、今どうなっているかを1回だけ数える
仕組みを作る前に、現状を数えます。ここを飛ばすと、対策の優先順位がつきません。
見るのは4つです。
- 90日以上サインインしていないアカウントの数
- そのうち、在籍者かどうか判別できないものの数
- 共有メールボックスや共有フォルダの所有者が退職者になっているもの
- 外部共有リンクが残っているもの(社外に公開されたままのファイル)
数えると、たいてい思ったより多いです。そしてこの数字は、予算や協力を取りにいくときの材料になります。「なんとなく危ない」より「90日未使用が37件あります」のほうが動きます。
未使用アカウントを見つけても、その場で削除しないこと。まだ使われている共有アカウント、システム連携用のアカウント、休職中の人のものが混ざっています。まず「無効化」して、1〜3か月様子を見てから削除する。困る人がいれば、その期間に必ず声が上がります。
人事から情報が来る経路を作る
本題です。仕組みといっても、大掛かりなものは要りません。
最低限これだけあれば回ります。
- 人事(あるいは総務)が、入社・異動・退職の予定を1つの表に入れる
- 項目は、氏名・所属・区分(入社/異動/退職)・発生日、の4つ
- 情シスは、その表を見て処理する
置き場所は SharePoint リストで十分です。人事側の負担は、月に数件なら数分です。
そのうえで、通知を自動にします。
- 退職日の7日前に情シスへ通知(準備できるように)
- 退職日当日に、処理すべきことのチェックリストが情シスに届く
- 処理が終わったら、リストの状態を「完了」にする
これで、「聞いていなかった」が構造的になくなります。
退職時にやることを、チェックリストにする
その場で考えると必ず漏れます。1枚にしておきます。
| 項目 | 補足 |
|---|---|
| アカウントの無効化 | 削除ではなく、まず無効化 |
| メールの転送設定 | 上長か後任へ。期間を決める(3か月など) |
| 共有メールボックスの権限を外す | |
| OneDrive のファイル | 業務のものは後任へ移す。期限が来ると消えることがある |
| 共有フォルダ・サイトの所有者 | 退職者が所有者なら、付け替える |
| 外部共有リンク | その人が発行したものを止める |
| 各種SaaSのアカウント | 情シス管轄外のものも含めて、一覧を持っておく |
| 貸与端末・持ち出し機器 | 総務と分担 |
| ライセンス | 剥がすと費用が下がる。ここは経理も喜ぶ |
最後の1行を入れておくのがコツです。「費用が下がる」が入っていると、この仕組みの話が通りやすくなります。
OneDrive のファイルは、いちばん見落とされる
意外と重いのがここです。
退職者の OneDrive には、業務のファイルがかなり残っています。そしてアカウントを削除すると、一定期間後に消えます。その期間は設定で変えられますが、既定のまま放置していると、気づいたときには無いということが起こり得ます。
なので、退職処理のときに必ず、
- 後任か上長が中身を確認する期間を取る
- 業務のものは共有の場所(SharePoint/チーム)へ移す
- 個人的なものは、本人に持ち出してもらう(在籍中に)
在籍中に片づけてもらうのがいちばん早いです。退職の1か月前に「業務のファイルは共有の場所へ移してください」と伝える運用にしておくと、後の手間がほぼ消えます。
定期の棚卸しは、年2回で十分
仕組みができても、漏れはゼロにはなりません。定期チェックを入れます。
- 年2回(人事異動の多い4月・10月の直後が向いています)
- 見るのは、最初に数えた4項目と同じ
- かかる時間は、慣れれば半日
月1回にすると続きません。年2回なら続きます。続く頻度にすることが、精度より大事です。
まとめ
- 原因は注意力ではなく、人事から情シスへ情報が渡る経路がないこと
- まず現状を数える。90日未使用・判別不能・所有者が退職者・外部共有リンク
- 見つけてもいきなり消さない。無効化して1〜3か月置く
- 人事が入社/異動/退職を1つの表に入れる。項目は4つ。通知は自動
- 退職時のチェックリストを1枚作る。ライセンス剥がしも入れる(費用が下がる=話が通る)
- OneDrive は在籍中に片づけてもらう。退職1か月前に案内する
- 棚卸しは年2回。続く頻度にする
どこから手をつけるかを一緒に見ることもできます。まずは現状の数字を出すところからでも構いません。
この記事で使うシートを配っています
業務棚卸しシート
「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。
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「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。