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「DXは何から始めればいいですか」と聞かれたときに返している順番

立派な計画から入ると、たいてい進みません。3か月で1つ、目に見えて楽になるものを作る。そのための最初の4ステップを、実際にお伝えしている順番で書きました。

読了 約4分 DX業務改善内製化

「DXを進めろと言われたんですが、何から始めればいいですか」

この相談が来たとき、私が最初に言うのは「全体像から作らないでください」です。

現状分析をして、あるべき姿を描いて、ロードマップを引く。順番としては正しいのですが、片手間でやると3か月かけて資料だけができて、そこで力尽きます。そして次の年度に、また同じ資料を作り直すことになります。

代わりにお勧めしているのは、こういう順番です。

ステップ1:時間を取られている作業を、20個書き出す

計画ではなく、事実から始めます。

「自分(と周りの人)が、時間を取られていると感じている作業」を、思いつく順に20個書きます。粒度は揃えなくて構いません。「月次集計」と「あの人にメールを転送する」が並んでいて構いません。

20個というのは、10個だと本命が出てこないことがあり、30個だと書ききれないからです。だいたい20個くらいで、そこそこ全体が見えます。

このとき、「これはDXっぽくない」で外さないでください。DXっぽさは判断基準になりません。時間を食っているかどうかだけで書きます。

ステップ2:それぞれに、時間と回数を入れる

各作業に、この2つを入れます。

  • 1回あたり何分か
  • 月に何回やるか

掛けて60で割ると、月あたりの時間が出ます。ここで毎回起きるのが、「思っていたのと順位が違う」ことです。

  • 大変だと思っていた月次集計 … 月1回×3時間 = 月3時間
  • 何とも思っていなかったメール転送 … 1日20回×2分 = 月14時間

目立つ作業と、時間を食っている作業は違います。目立つのは「まとまってつらい作業」ですが、実際に時間を奪うのは「細かく何度も来る作業」です。そして後者のほうが、たいてい自動化しやすい。

ここで使えるシート

この書き出しと計算をするためのシートを、資料室に無料で置いています。優先度まで自動で並ぶようにしてあるので、埋めるだけで次のステップに進めます。

ステップ3:上位の中から、「判断が入らないもの」を1つ選ぶ

時間順に並んだら、上から順に見て、人の判断が混ざっていないものを1つ選びます。

判断が入るものは、後回しにします。理由は難しいからではなく、最初の1本で成功体験を作りたいからです。判断が絡むと決めることが増えて、時間がかかり、途中で止まりやすくなります。

選ぶ条件をまとめると、

  • 月あたりの時間が上位
  • 判断が入らない(転記、通知、集計、振り分け、督促)
  • 関係者が3人以下
  • 止まってもその日は困らない

最後の条件が地味に大事です。止まると即座に業務が止まるものを1本目に選ぶと、慎重になりすぎて進まなくなります。

ステップ4:3か月で作って、時間が減ったことを見せる

期限を切ります。3か月です。

なぜ3か月かというと、それより短いと業務の合間では終わらず、それより長いと人事異動や方針変更で前提が変わるからです。

そして、終わったら必ずこれをやります。

  • 前は月◯時間、今は月◯時間、と数字で出す(正確でなくて構いません。体感で十分です)
  • やった人の名前を出す
  • 次に何をやるかを、その場で1つ決める

この報告があるかどうかで、2本目が作られるかが決まります。「効果が出たら報告しよう」と思っていると、たいてい報告しないまま次の忙しさが来ます。


この順番にしている理由

立派なロードマップより、動くものが1つあるほうが強いからです。

  • 予算を取りにいくとき、動いているものがあると話が早い(「これと同じことを他部署でもやります」と言える)
  • 協力を頼むとき、楽になった人が味方になる
  • 続けるとき、成功体験がないと2本目が始まらない

全体像は、3本目くらいを作っているときに描くと、地に足のついたものになります。最初に描くと、たいてい他社の事例の書き写しになります。

よく聞かれること:「小さすぎませんか」

言われます。「経営に報告できるようなものではない」と。

ただ、最初から経営に報告できる規模のものを、片手間で作れる会社はありません。そして、小さいものを3本作った会社と、大きい計画を1本作った会社を1年後に比べると、前者のほうが遠くに行っています。

小さく始めることの本当の価値は、時間が減ることではなく、「自分たちで変えられる」という感覚が社内にできることです。ここができると、あとは勝手に進みます。

まとめ

  1. 時間を取られている作業を20個書き出す。DXっぽさで選ばない
  2. 1回の分数 × 月の回数を入れる。順位はたいてい予想と違う
  3. 上位から、判断が入らない・3人以下・止まってもその日は困らないものを1つ選ぶ
  4. 3か月で作って、減った時間を報告する。次の1つをその場で決める

書き出しのところで手が止まったら、そこからご一緒します。資料室のシートを埋めた状態で持ってきてもらえると、そのまま話が始められます。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

業務棚卸しシート

「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 15 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。