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内製化が続かない会社と、続く会社の違い

ツールを入れて研修もやったのに、半年後には誰も作っていない。この落ち方には型があります。続いた現場が何をしていたかを、5つに分けて書きました。

読了 約4分 内製化DX組織

Power Platform を導入して、研修もやって、最初の1本も作った。なのに半年後に見にいくと、誰も新しいものを作っていない。

これは珍しいことではなく、むしろ普通に起きます。そして落ち方には型があります。

「担当者のやる気がなかった」で片づけられることが多いのですが、続かなかった現場を見ていると、たいていやる気ではなく仕組みのほうに理由があります。

違い1:業務時間の中に「作る時間」があるか

いちばん効くのがこれです。

内製化が続かない現場では、開発が通常業務の後ろに積まれています。「手が空いたときにやってね」は、手が空かないので永遠にやりません。

続いている現場は、たとえばこうしています。

  • 毎週金曜の午後2時間を「改善の時間」として、カレンダーに固定で入れる
  • その時間は、緊急でない限り他の依頼を受けない
  • 上司がその枠を承知している(ここが重要)

週2時間でも、年間で100時間近くになります。まとまった研修より、細く続く2時間のほうが定着します。

逆に、この枠が取れないなら、それは内製化に向いていない状態です。無理に進めるより、外に出したほうが安いです。

違い2:最初に作るものを、小さくできたか

続かない現場の最初の1本は、たいてい大きすぎます。

「せっかくだから基幹システムの代わりになるものを」「全部署で使えるものを」となって、3ヶ月かかり、その間に誰も成功体験を得られず、そのまま止まります。

続く現場の最初の1本は、こういうものです。

  • 自分の部署の、自分が困っている作業
  • 関係者が3人以下
  • 1〜2週間でひとまず動く

「他部署に展開できるか」は、最初は考えなくていいです。むしろ考えないほうがいい。展開を意識した瞬間に、決めることが増えて止まります。

自分の手元が楽になった経験が1回あると、次を作ります。それが3本目くらいから、周りが「うちのもお願いできる?」と言い出します。展開は、頼まれてから考えるほうが早いです。

違い3:失敗できる場所があるか

作ったものが本番でおかしなことをしたとき、責められる文化だと、誰も2本目を作りません。

続く現場には、逃げ場があります。

  • 最初はテスト用のリストやサイトで作る。本番データを触らない
  • 「これは試作です」と明示したうえで、一部の人だけに使ってもらう期間を置く
  • おかしくなったときに、手作業に戻せる手順が用意されている

戻せることが分かっていると、人は試せます。技術の話ではなく、心理的な話です。

権限の設計はここに効きます

「壊されると困るから、そもそも作らせない」という管理のしかたをすると、内製化は始まりません。かといって全員に何でも触らせるのも無理です。落としどころは「試す環境は自由・本番は申請制」です。環境を分けるのは、技術ではなくルールの仕事です。

違い4:作ったものが、一覧になっているか

半年経つと、こうなります。

  • 誰が何を作ったか分からない
  • 似たようなものが3つある
  • 作った人が異動して、動いているけど誰のものか分からないフローが残る

これを防ぐのは大掛かりな管理台帳ではなく、1枚の一覧です。

名前何をするもの作った人今の担当止まったら困る度

これだけで足ります。作ったら1行足す、というルールにする。

この一覧があるかどうかで、2年目に生き残るかが決まります。一覧がないと、担当者が変わった瞬間に全部が「よく分からないもの」になり、結局作り直しか手作業に戻ります。

違い5:外部の使い方が「作ってもらう」で終わっていないか

これは自分に返ってくる話でもあるので、正直に書きます。

外部に頼んで作ってもらうこと自体は、悪くありません。速いですし、確実です。問題は、渡されたものの中身を誰も知らない状態で終わったときです。そうなると、次に直したいときもまた外部を呼ぶことになり、内製化とは逆方向に進みます。

続いている現場は、外部の使い方が違います。

  • 作る過程を見せてもらう。完成品の説明より、途中を横で見ているほうが身に付きます
  • 最初の1本は一緒に作り、2本目は自分たちで作って見てもらう
  • 「これは自分たちでやれます」と言われたら、それで終わりにする

私自身、埋めたシートを見て「これは自分たちでやれますね」と返すことがあります。売上にはなりませんが、そう言える相手のほうが、次に本当に難しい話が来たときに呼ばれます。


まとめ

続く現場がやっていたこと。

  1. 業務時間の中に、作る時間を固定で確保している(週2時間でいい)
  2. 最初の1本が小さい。自分の困りごと・3人以下・2週間
  3. 失敗できる場所がある。試す環境は自由、本番は申請制
  4. 作ったものの一覧が1枚ある。2年目に効く
  5. 外部の使い方が「一緒に作る」になっている

このうち1と2が飛び抜けて効きます。逆に、研修の質やツールの選定は、思ったほど効きません。

「うちはどこで止まりそうか」を見るところからでも構いません。まだ何も始めていない段階のほうが、順番を整えやすいです。

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「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。