- IT予算を、前年並みの数字で出している
- 足りなくなったら、都度お願いして通してもらっている
- 「うちのIT費用は多いのか少ないのか」が分からない
- 急にPCが壊れたときに、予算が無くて先送りになる
前年並みで出す形の問題は、予算の話ができないことです。中身が分かれていないので、増やす根拠も、減らす判断もできません。
分けて出すだけで、話が通りやすくなります。
3つに分けて出す
| 区分 | 中身 | 性格 |
|---|---|---|
| 維持 | ライセンス、通信費、保守、リース | 止められない。減らすには契約を見直すしかない |
| 更新 | PCの入れ替え、サーバー更新、OSのサポート切れ対応 | 時期が決まっている。先送りするとリスクが増える |
| 改善 | 新しく入れるもの、作るもの | 判断の対象。ここだけが本来の議論 |
この3つを混ぜて1本の数字で出すから、話が「多い・少ない」で終わります。
分けて出すと、こう言えます。
維持が◯◯円で、これは契約上動かせません。更新が◯◯円で、来年サポートが切れる端末が15台あります。改善の枠として◯◯円をお願いしたいのですが、優先順位はこの順です。
これなら、削るとしたらどこかを、決める側が判断できます。
維持:まず一覧を作る
前年並みが続く原因は、何に払っているかの一覧が無いことです。
- ライセンス・サブスクリプション(更新月と年額)
- 通信費(回線、モバイル)
- 保守契約(何をしてもらっているか、年に何件対応があったか)
- リース(終了時期)
台帳を作ると、使っていないのに払い続けているものが必ず出てきます(契約しているサービスが把握できていない)。
「割当済 < 契約数」になっているライセンスを探してください。ここが最初に削れるところです。
資料室にIT資産台帳を置いてあります。ライセンスのシートに更新月の列があるので、更新の1か月前に見直す運用ができます。
更新:時期が決まっているので、先に出せる
これがいちばん通しやすい予算です。「いつ・何台・いくら」が計算で出るからです。
台帳に購入日が入っていれば、次のように出せます。
2027年度に更新が必要な端末:15台
内訳:購入から5年経過 12台/サポート期限切れ 3台
1台あたり15万円 × 15台 = 225万円
※ 分割するなら、期限切れの3台を先に
分割案を一緒に出すのが大事です。全部通らなくても、危ないものから通ります(サポートが切れたPCが社内に残っている)。
更新の周期を決めておく
「壊れたら替える」は、いちばん高くつきます。壊れるのは繁忙期で、急いで買うと選べず、その間業務が止まります。
4〜5年で入れ替えると決めて、毎年その台数分を予算に入れる。台数が平準化されるので、単年度の負担が読めるようになります。
改善:金額ではなく、優先順位で出す
ここは「いくら欲しいか」ではなく、「この順番でやりたい」を出してください。
1. 請求書作成の自動化 60万円 年90万円の削減見込み
2. 申請の電子化 40万円 承認の待ち日数 5.2日→2日
3. ダッシュボードの整備 30万円 月次報告の作成時間 3日→半日
上から順に、通った分だけやりますという出し方にすると、満額でなくても動けます。
「全部で130万円ください」だと、減らされたときに何をやめるかを、また相談することになります。
やってみないと分からないもの(試しに入れてみたいツール、小さな実験)を、「検証枠 年◯◯万円」として少額で確保しておくと、都度お願いする回数が減ります。金額は小さくていいです。都度稟議を書く時間のほうが高くつきます。
「うちは多いのか少ないのか」
比較の目安が欲しくなりますが、業種と規模で大きく変わるので、外の平均値はあまり当てになりません。
自社の中で見るほうが確実です。
- 維持費が、前年より増えていないか(増えているなら、何が増えたか)
- 更新の先送りが積み上がっていないか(サポート切れの台数)
- 改善に使えた金額が、3年で減っていないか
3つ目が減り続けているなら、維持費に押し出されているということです。そこが分かると、契約の見直しに手をつける理由ができます。
突発への備え
予算が無くて先送りになる、を防ぐ方法は2つです。
- 予備費を維持の中に少額入れておく(故障の交換用に、PCを1〜2台先に買って予備として置く)
- 緊急時の決裁ルートを決めておく(金額いくらまでなら、誰の判断で買えるか)
2番目は費用がかかりません。「10万円までは情シス責任者の判断で購入可」と決めておくだけで、業務が止まる時間が短くなります。
出すタイミング
予算の話は、期の終わりに慌てて出すと通りません。
- 更新の一覧は、2〜3か月前に出す(台帳があれば作業は1時間)
- 改善の優先順位は、現場から要望が出た時点で書き溜めておく
書き溜めておく場所を1つ作ってください。要望が来るたびに1行足すだけです。予算の時期には、それを並べ替えるだけで済みます。
まとめ
- 前年並みで出すと、増やす根拠も減らす判断もできない
- 維持/更新/改善の3つに分ける
- 維持は一覧を作る。使っていないライセンスが必ず出る
- 更新は時期が決まっているので通しやすい。分割案を一緒に出す
- 4〜5年の更新周期を決めると、単年度の負担が読める
- 改善は金額ではなく優先順位で出す。通った分だけやる形に
- 検証枠を少額確保すると、都度お願いする回数が減る
- 外の平均より、自社の3年の推移を見る
- 緊急時の決裁ルートを決めておく(費用ゼロで効く)
- 要望は来た時点で1行書き溜める
まずライセンスの一覧を作ってみてください。1時間で、たいてい削れるものが見つかります。
この記事で使うシートを配っています
IT資産台帳(PC・ライセンス)
会社にある端末とライセンスを1枚に並べる台帳です。サポート期限が切れている行と、1年以内に切れる行に自動で色が付きます。ライセンスは割当が契約数を超えると赤くなります。
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