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IT予算を、どう決めればいいか分からない

前年並みで出して、足りなくなったら都度お願いする。この形だと、必要なときに必要なものが買えません。3つに分けて出すと、通りやすくなります。

読了 約5分 コスト管理ひとり情シスDX
  • IT予算を、前年並みの数字で出している
  • 足りなくなったら、都度お願いして通してもらっている
  • 「うちのIT費用は多いのか少ないのか」が分からない
  • 急にPCが壊れたときに、予算が無くて先送りになる

前年並みで出す形の問題は、予算の話ができないことです。中身が分かれていないので、増やす根拠も、減らす判断もできません。

分けて出すだけで、話が通りやすくなります。

3つに分けて出す

区分中身性格
維持ライセンス、通信費、保守、リース止められない。減らすには契約を見直すしかない
更新PCの入れ替え、サーバー更新、OSのサポート切れ対応時期が決まっている。先送りするとリスクが増える
改善新しく入れるもの、作るもの判断の対象。ここだけが本来の議論

この3つを混ぜて1本の数字で出すから、話が「多い・少ない」で終わります。

分けて出すと、こう言えます。

維持が◯◯円で、これは契約上動かせません。更新が◯◯円で、来年サポートが切れる端末が15台あります。改善の枠として◯◯円をお願いしたいのですが、優先順位はこの順です。

これなら、削るとしたらどこかを、決める側が判断できます。

維持:まず一覧を作る

前年並みが続く原因は、何に払っているかの一覧が無いことです。

  • ライセンス・サブスクリプション(更新月と年額)
  • 通信費(回線、モバイル)
  • 保守契約(何をしてもらっているか、年に何件対応があったか)
  • リース(終了時期)

台帳を作ると、使っていないのに払い続けているものが必ず出てきます(契約しているサービスが把握できていない)。

「割当済 < 契約数」になっているライセンスを探してください。ここが最初に削れるところです。

資料室にIT資産台帳を置いてあります。ライセンスのシートに更新月の列があるので、更新の1か月前に見直す運用ができます。

更新:時期が決まっているので、先に出せる

これがいちばん通しやすい予算です。「いつ・何台・いくら」が計算で出るからです。

台帳に購入日が入っていれば、次のように出せます。

2027年度に更新が必要な端末:15台
  内訳:購入から5年経過 12台/サポート期限切れ 3台
  1台あたり15万円 × 15台 = 225万円
  ※ 分割するなら、期限切れの3台を先に

分割案を一緒に出すのが大事です。全部通らなくても、危ないものから通ります(サポートが切れたPCが社内に残っている)。

更新の周期を決めておく

「壊れたら替える」は、いちばん高くつきます。壊れるのは繁忙期で、急いで買うと選べず、その間業務が止まります。

4〜5年で入れ替えると決めて、毎年その台数分を予算に入れる。台数が平準化されるので、単年度の負担が読めるようになります。

改善:金額ではなく、優先順位で出す

ここは「いくら欲しいか」ではなく、「この順番でやりたい」を出してください。

1. 請求書作成の自動化        60万円  年90万円の削減見込み
2. 申請の電子化              40万円  承認の待ち日数 5.2日→2日
3. ダッシュボードの整備      30万円  月次報告の作成時間 3日→半日

上から順に、通った分だけやりますという出し方にすると、満額でなくても動けます。

「全部で130万円ください」だと、減らされたときに何をやめるかを、また相談することになります。

効果が読めないものを、1つだけ枠として入れておく

やってみないと分からないもの(試しに入れてみたいツール、小さな実験)を、「検証枠 年◯◯万円」として少額で確保しておくと、都度お願いする回数が減ります。金額は小さくていいです。都度稟議を書く時間のほうが高くつきます。

「うちは多いのか少ないのか」

比較の目安が欲しくなりますが、業種と規模で大きく変わるので、外の平均値はあまり当てになりません。

自社の中で見るほうが確実です。

  • 維持費が、前年より増えていないか(増えているなら、何が増えたか)
  • 更新の先送りが積み上がっていないか(サポート切れの台数)
  • 改善に使えた金額が、3年で減っていないか

3つ目が減り続けているなら、維持費に押し出されているということです。そこが分かると、契約の見直しに手をつける理由ができます。

突発への備え

予算が無くて先送りになる、を防ぐ方法は2つです。

  • 予備費を維持の中に少額入れておく(故障の交換用に、PCを1〜2台先に買って予備として置く)
  • 緊急時の決裁ルートを決めておく(金額いくらまでなら、誰の判断で買えるか)

2番目は費用がかかりません。「10万円までは情シス責任者の判断で購入可」と決めておくだけで、業務が止まる時間が短くなります。

出すタイミング

予算の話は、期の終わりに慌てて出すと通りません。

  • 更新の一覧は、2〜3か月前に出す(台帳があれば作業は1時間)
  • 改善の優先順位は、現場から要望が出た時点で書き溜めておく

書き溜めておく場所を1つ作ってください。要望が来るたびに1行足すだけです。予算の時期には、それを並べ替えるだけで済みます。

まとめ

  • 前年並みで出すと、増やす根拠も減らす判断もできない
  • 維持/更新/改善の3つに分ける
  • 維持は一覧を作る。使っていないライセンスが必ず出る
  • 更新は時期が決まっているので通しやすい。分割案を一緒に出す
  • 4〜5年の更新周期を決めると、単年度の負担が読める
  • 改善は金額ではなく優先順位で出す。通った分だけやる形に
  • 検証枠を少額確保すると、都度お願いする回数が減る
  • 外の平均より、自社の3年の推移を見る
  • 緊急時の決裁ルートを決めておく(費用ゼロで効く)
  • 要望は来た時点で1行書き溜める

まずライセンスの一覧を作ってみてください。1時間で、たいてい削れるものが見つかります。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

IT資産台帳(PC・ライセンス)

会社にある端末とライセンスを1枚に並べる台帳です。サポート期限が切れている行と、1年以内に切れる行に自動で色が付きます。ライセンスは割当が契約数を超えると赤くなります。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 22 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。