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気づいたら契約しているサービスが増えている

誰が何を契約しているか分からない。使っていないものに払い続けている。退職者のIDが残っている。棚卸しの手順と、増え方をゆるく制御する現実的なルール。

読了 約5分 ひとり情シスコスト管理情報整理
  • 部署が独自に契約したサービスがいくつあるか、把握できていない
  • 使っていないのに毎月引き落とされている
  • 退職した人のIDが残ったまま課金されている
  • 誰のクレジットカードで払っているのか分からないものがある
  • 契約更新の通知が、退職した人のメールアドレスに届いている

大きい会社でも中小でも起きます。現場が自分で契約できるようになったこと自体は良いことなので、禁止して戻す話ではありません。見えるようにする話です。

第1段:棚卸しする(1回だけ、まとめて)

見えていないものは減らせないので、まず数えます。現場に聞くのがいちばん早いです。

各部署にこう聞きます。

業務で使っている、社外のサービス(月額・年額を払っているもの)を教えてください。無料で使っているものも含めてください。

「怒られる」と思われると出てこないので、目的をはっきり伝えます。

止めるためではなく、支払いが二重になっていないか、退職者のIDが残っていないかを確認するためです。

実際、棚卸しの結果として費用が下がることが多いので、この説明は嘘になりません。

経理側からも数える

現場からの申告だけだと漏れます。経理側から、定期的な引き落としの一覧を出してもらうと、申告に無いものが出てきます。

  • 毎月・毎年の定額支払い
  • クレジットカードの明細(誰の名義かも確認する)

両方を突き合わせると、たいてい数件は「これ何ですか」が出ます。

第2段:1枚の台帳にする

持つ項目は、これで足ります。増やすと更新されなくなります。

項目補足
サービス名
何に使っているか1行
使っている部署/人数
費用と課金の単位月額/年額、人数課金かどうか
支払い方法誰のカードか、請求書払いか
契約者(社内の担当)空欄の行が、次に事故る行
更新日自動更新か、解約の予告期限があるか
データの扱い会社の情報が入っているか。やめたら取り出せるか

最後の2つが後で効きます。

  • 更新日を書いておかないと、気づいたら1年分自動更新されています
  • データの扱いを書いておかないと、やめるときに「中身が取り出せない」で詰まります
無料で使っているものこそ書く

費用がかからないので見落とされますが、会社の情報が入っているサービスは把握しておく必要があります。無料の翻訳サービス、無料のファイル変換サイト、個人アカウントで使っている生成AI。費用ではなく情報の観点で棚卸しするという視点を、1つ入れてください(生成AIの社内ルールを、A4一枚で作る)。

第3段:すぐ削れるものを削る

棚卸しすると、必ず出てきます。

  • 誰も使っていない(担当者が異動して、そのまま)
  • 重複している(同じ用途のサービスを2つの部署が別々に契約)
  • 人数分より多く契約している(退職者のぶんが残っている)

3つめが即効性があります。ライセンスを剥がすだけで費用が下がるので、経理も喜びます。退職処理のチェックリストにこの項目を入れておくのが根本対策です(退職者のアカウントが残っている、を仕組みで止める)。

重複は、統合しようとすると揉めます。まずは「重複している」という事実を共有するところまででいい。次の更新のタイミングで判断すれば足ります。

第4段:増え方をゆるく制御する

禁止も申請制も、たいてい機能しません。

  • 禁止する → 個人のカードで契約して、経費精算で通す。見えなくなるだけ
  • 全部申請制 → 情シスが詰まる。そして現場は申請せずに使う

現実的なのは、「契約するのは自由。ただし台帳に1行書く」というルールです。これはSharePointのサイトが増えすぎる問題と同じ形で、見えるようにするほうが、禁止より効きます。

そのうえで、この3つだけは事前に相談してもらうと決めます。

  1. 顧客の情報や個人情報を入れるもの
  2. 社内のデータと連携するもの(アカウント連携、ファイル同期)
  3. 年額◯万円を超えるもの

3つに絞ると、現場も守れます。10項目のチェックリストは守られません。

第5段:年1回、更新日の前に見る

棚卸しは年1回で足ります。やる時期は、更新が集中する月の1〜2か月前がいいです。

見るのは、

  • 使っていないもの(削る)
  • 人数が合っていないもの(減らす)
  • 契約者が空欄・退職者になっているもの(付け替える
  • 更新通知の宛先(個人ではなく共有のメールボックスに変える

最後の項目が地味に重要です。契約更新や障害の通知が、退職した人のアドレスに届き続けている——これは実際によくあります。共有メールボックスに変えておけば、担当が変わっても届きます。

まとめ

  • 現場が契約できること自体は良いこと。禁止ではなく、見えるようにする
  • 棚卸しは現場への聞き取り+経理の定期支払い一覧の両方から。片方だと漏れる
  • 聞くときは「止めるためではなく、二重払いと退職者IDの確認のため」と目的を伝える
  • 台帳の項目は8つまで。契約者・更新日・データの扱いを必ず入れる
  • 無料のものも書く。費用ではなく情報の観点で
  • すぐ削れるのは未使用・重複・人数超過。人数超過は即効性がある
  • 増え方の制御は「契約は自由、台帳に1行」+事前相談は3種類だけ
  • 年1回、更新が集中する月の1〜2か月前に見る。通知の宛先を共有メールボックスに変える

棚卸しの聞き方を決めるところからでも構いません。現場から情報が出てくるかどうかは、聞き方でかなり変わります。

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