会議の文字起こしと要約は、この2年でかなり実用的になりました。Teams の会議で録画・文字起こしを有効にすれば、終わったあとに要約が出てきます。
それでも「導入したけど結局手で書いている」という現場があります。原因は精度ではなく、運用の決めごとが抜けていることのほうが多いです。3つあります。
1. 録音していいか、を先に片づける
技術より先に、ここです。
- 参加者に事前に伝えているか。会議が始まってから「録画します」と言うと、その場では誰も反対できませんが、後から問題になります
- 社外の人が入る会議はどうするか。取引先が入る会議を無断で録るのは、信頼の問題になります。ルールとして「社外が入る会議は毎回確認する」と決めておきます
- 人事評価や処遇の話が出る会議は対象外にする。ここを一律で扱うと、必ず事故ります
- 録画・文字起こしの保存期間を決める。無期限に溜まると、いざというときに全部が開示対象になり得ます
このあたりを1枚のルールにしておくと、以後は迷いません。技術的にできることと、やっていいことは別という当たり前の話ですが、飛ばされやすいところです。
「①録画する会議は招集時に明記する ②社外が入る会議は毎回口頭で確認する ③録画は◯か月で削除する」。細かい規程を作るより、3行を全員が知っているほうが機能します。
2. 議事録に何を残すか、を決める
これが精度の問題に見えて、実は設計の問題です。
AIに要約させると、「言われたこと」がまんべんなく要約されて返ってきます。でも、後から議事録を読む人が知りたいのは、たいてい3つだけです。
- 決まったこと
- 決まらなかったこと(次に決める人と期限)
- 誰が何をいつまでにやるか
発言の流れは、必要な人が文字起こしを見に行けば足ります。議事録に全部を残そうとすると、長くなり、読まれなくなり、結局手で書き直すことになります。
なので、要約させるときの指示を固定します。
この会議の文字起こしから、次の3点だけを箇条書きで抽出してください。
1. 決まったこと
2. 決まらなかったこと(次に決める人と期限が分かれば併記)
3. 担当者ごとのタスク(担当者名/内容/期限)
発言の要約は不要です。文字起こしに書かれていないことは推測せず、
不明な場合は「不明」と書いてください。
最後の1行が大事です。これが無いと、期限や担当者を自然に補完してきます。議事録で補完されるといちばん困るところです。
3. 誰が、いつ直すか
AIが出したものを、そのまま配ってはいけません。理由は精度以前に、責任の所在です。
- 決定事項の書き方が微妙に違うと、後で「そういう意味ではなかった」になる
- 社名・製品名・専門用語は、文字起こしの段階で誤変換されます
- 発言者の言い間違いを、そのまま決定として拾うことがあります
決めるのはこの3つです。
- 誰が直すか。会議の主催者が原則。持ち回りにすると必ず滞ります
- いつまでに出すか。当日中か翌営業日中。ここを決めないと3日後になり、その頃には誰も覚えていません
- どこに置くか。チャットに貼るのではなく、残る場所(SharePointやチャネルのファイル)に置く(Teamsに流した情報が消える問題)
直す時間は、慣れれば5分から10分です。ゼロから書けば30分かかっていたものが10分になる、というのがこの仕組みの現実的な効果です。「議事録がいらなくなる」ではありません。
効果を過大に見積もらない
正直に書いておきます。この仕組みで減るのは、書く時間です。
減らないのは、
- 会議そのものの時間
- 決まらない会議が決まるようになること
- 参加者が事前に資料を読んでくること
「議事録が自動化されれば会議が良くなる」わけではありません。会議が良くならないのは、たいてい議題と決めるべきことが事前に共有されていないからで、そちらは別の話です。
ただ、書く時間が減ると、その場で「では決まったことはこの3つですね」と確認して終わる習慣が作りやすくなります。これは副次的ですが、効きます。
まとめ
- 録音の可否を先に片づける。招集時に明記/社外は毎回確認/保存期間を決める。3行でいい
- 議事録に残すのは決まったこと・決まらなかったこと・誰が何をいつまでにの3つだけ
- 要約の指示に「書かれていないことは推測せず、不明と書く」を必ず入れる
- 主催者が、当日中か翌営業日中に直して、残る場所に置く
- 減るのは書く時間。会議そのものは良くならない
Copilot をまだ広く配っていない段階なら、Copilot を入れたのに使われない、を防ぐ最初の30日 のほうを先に読んでもらったほうがいいかもしれません。議事録は、最初の5人が効果を体感しやすい使い道のひとつです。
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