「打刻はシステムでしているのに、月末になると総務が3日つぶれる」
勤怠まわりの相談は、この形で来ることが多いです。そして中身を聞くと、集計そのものに時間がかかっているわけではありません。時間を食っているのは、例外の処理です。
- 打刻もれの確認(本人に聞いて、上長に承認をもらう)
- 直行直帰・出張の扱い
- 有休や振替の申請が紙で来ていて、突き合わせが要る
- 部署ごとに運用が違う
つまり、集計を自動化しても、その手前が変わらなければ大して楽になりません。順番があります。
第1段:打刻もれを減らす
いちばん効きます。打刻もれ1件につき、確認・修正・承認で10〜15分は溶けます。月に30件あれば、それだけで数時間です。
減らし方は、当日中に本人に気づかせることです。
- 毎朝、前日の打刻もれを本人にだけ通知する(Teamsでもメールでも)
- 上長には週1回まとめて、未解消の一覧を送る
- 月末にまとめて確認しない
月末にまとめて聞くと、本人も覚えていません。「先月の12日、何時に帰りましたか」に正確に答えられる人はいません。翌日なら覚えています。それだけの違いで、確認にかかる時間が数分の一になります。
これは Power Automate の標準コネクタで組める範囲です(打刻データをCSVやExcelで取り出せれば十分)。追加費用は要りません。
全員に一斉送信すると、打刻もれのない人にも届いて、通知そのものが無視されるようになります。該当者にだけ届くようにすることが、続くかどうかを決めます。
第2段:例外の申請を、同じ場所に集める
打刻もれの次に重いのが、有休・振替・直行直帰・出張の申請が別々の経路で来ることです。
紙で回ってくるもの、メールで来るもの、口頭のもの。これを総務が打刻データと突き合わせるので、時間がかかります。
やることは単純で、申請の入口を1つにするだけです。
- 種類(有休/半休/振替/直行直帰/出張/打刻修正)を選ぶ
- 日付と、必要なら時刻
- 理由(種類によっては不要)
これを1つのフォームで受けて、1つの表に溜めます。種類ごとにフォームを分けないこと。分けると、出す側がどれを使えばいいか分からなくなります。
こうすると、月末の作業が「あちこちから集める」から「1つの表を見る」に変わります。ここまでで、たぶん半分は軽くなります。
第3段:集計を自動にする
ここでようやく集計の話です。逆に言うと、1段目と2段目をやらずにここから入ると、効果が出ません。
自動化する内容は、だいたいこうなります。
- 打刻データと申請データを突き合わせて、日ごとの実労働時間を出す
- 残業時間を月で積み上げる
- 上限に近づいている人を、月の途中で拾って通知する
3つめが本命です。月末に集計して「今月は超えていました」と分かっても、もう手が打てません。月の途中で見えることに意味があります。
たとえば「20日時点で月の上限の8割を超えている人」を毎週金曜に拾って、本人と上長に通知する。これだけで、月末の対応がかなり減ります。
第4段:部署ごとの運用差を減らす
最後がこれです。技術ではなく調整の仕事なので、時間がかかります。
- 部署によって申請の締め日が違う
- ある部署だけ独自の様式を使っている
- 現場は紙で、事務は電子
全部を揃えようとすると進みません。揃えるのは、集計に直接効くところだけにします。
- 締め日は揃える(ここは揃えないと集計できない)
- 様式は揃える(項目だけ。見た目は問わない)
- 出し方(紙か電子か)は、当面バラバラでもいい。総務が代理で入力する経路を用意しておけば回ります
現場に一斉に電子化を強いると、反発で全体が止まります。代理入力の逃げ道を作っておくと、移行が進みます。そして半年もすると、代理入力が面倒になった現場から自分で入れるようになります。
やらないほうがいいこと
- いきなり勤怠システムを入れ替える。打刻もれと申請の分散という原因は、システムを変えても残ります
- 例外を全部システムに作り込む。部署ごとの特殊ルールを条件分岐にすると、誰も直せなくなります
- 月末にまとめて確認する運用を残したまま自動化する。確認の手間は減りません
まとめ
順番は4段です。
- 打刻もれを翌日に本人へ通知する。ここがいちばん効く
- 例外の申請を1つの入口に集める。種類ごとにフォームを分けない
- 集計を自動にする。月末ではなく、月の途中で上限接近者を拾うのが本命
- 部署差は、締め日と項目だけ揃える。出し方は当面バラバラでいい
1段目と2段目は、追加費用なしで組める範囲に収まることが多いです。まずそこまでやって、効果を見てから次を決めるのがお勧めです。
どこで時間が溶けているかを数えるところからでも構いません。資料室の業務棚卸しシートに、勤怠まわりの作業を書き出してみてください。
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「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。
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