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「業務改善の効果」を、盛らずに数字にする

削減時間を大きく見せると、次の年に自分の首が締まります。実際に使える測り方と、報告のときに正直でいるための書き方。

読了 約4分 業務改善報告DX

自動化やアプリを作ったあと、必ず聞かれます。

「で、どのくらい効果が出たの?」

ここで困る人が多いです。そして困った結果、大きめの数字を出してしまうことがあります。「年間480時間削減」のような。

これは、その場は乗り切れますが、次の年に効いてきます。

  • 「じゃあ人を減らせるね」と言われる(実際には減らせない)
  • 翌年も同じ規模の効果を求められる
  • 数字の根拠を聞かれて答えられない

盛らないほうが、長く続きます。測り方の話をします。

何を測るか:3種類ある

効果は1種類ではありません。分けて考えると書きやすくなります。

1. 減った時間いちばん分かりやすいですが、いちばん誤解されます(後述)。

2. 減ったミス・手戻り「転記ミスによる差し戻しが月5件から0件になった」。件数で言えるので、時間より正確です。そして、この効果のほうが現場には響きます。

3. 見えるようになったこと「どこで止まっているか分かるようになった」「未提出者が一覧で見えるようになった」。数字にしにくいですが、実際にはこれがいちばん価値があることも多い。

報告では、3つを分けて書く。時間だけを書くと、時間の話だけになります。

減った時間の測り方

やり方はこうです。

作る前に測る。これを飛ばすと、後から推測になります。

  • 対象の作業を、1回だけストップウォッチで測る(1回で十分。精度より、測ったという事実が大事)
  • 月に何回やるかを数える
  • 掛けて、月あたりの時間を出す

作ったあとに、もう一度同じように測る。

これだけです。「だいたい」で構いません。大事なのは、前後で同じ測り方をしていることです。

資料室のシートが使えます

業務棚卸しシートに「1回あたりの分数」「月の回数」を入れる欄があります。作る前にこれを埋めておくと、そのまま前後比較になります。後から思い出して書くより、はるかに正確です。

減った時間を、お金に換算するかどうか

「時給換算すると年間◯◯万円」と書きたくなりますが、慎重にしたほうがいいです。

理由は単純で、削減した時間は、そのままお金にはならないからです。

  • その人が辞めるわけではないので、人件費は減らない
  • 空いた時間は、たいてい別の仕事で埋まる
  • 「じゃあその分、人を減らせるね」という話につながりやすい

正直に書くなら、こうです。

月14時間の作業が月2時間になりました。空いた12時間は、これまで手が回っていなかった〇〇に充てています。

「何に使ったか」まで書くのが、いちばん誠実で、いちばん次につながります。空いた時間の使い道が書けないなら、そもそも効果として弱い、ということでもあります。

効果が出なかったときの書き方

出ないこともあります。そのときこそ、正直に書く価値があります。

  • なぜ出なかったか(想定より例外が多かった/使われなかった/別のところがボトルネックだった)
  • 分かったこと(次に何を変えるべきか)
  • 止めるか、続けるか

「効果が出ませんでした。原因は、月100件のうち例外が30件あり、結局そこは手作業のままだったことです。例外の扱いを先に決めていれば防げました」——こう書ける人は、次を任されます。

隠して次の年に同じことをやるほうが、はるかに損です。

測るのに時間をかけすぎない

最後に、これも大事です。

厳密に測ろうとすると、測ること自体が仕事になります。

  • 全員に作業時間を毎日記録してもらう → 続かないし、記録の手間で嫌われる
  • システムのログを分析する → 分析に時間がかかるうえ、「開いた回数」と「楽になったか」は別

現実的なのは、

  • 対象の作業について、代表的な1人に、前後で1回ずつ聞く
  • 「体感でどのくらい楽になりましたか」を言葉で聞いて、そのまま引用する

2つめは数字ではありませんが、報告のときにいちばん効きます。「〇〇部の△△さんは『月末に定時で帰れるようになった』と言っています」——これは、480時間という数字より説得力があります。

報告の書き方(1枚)

まとめると、こういう形になります。

■ 何をしたか
 各部から届く月次報告Excelの集計を自動化した(Power Automate)

■ 減った時間
 前:1回90分 × 月12回 = 月18時間
 後:1回15分 × 月12回 = 月3時間
 → 月15時間。空いた時間は、これまで後回しだった〇〇に充てている

■ 減ったミス
 転記ミスによる差し戻しが月4〜5件 → 0件

■ 見えるようになったこと
 未提出の部署がその日のうちに分かるようになった

■ うまくいかなかったこと
 様式が違う2部署は自動化できず、手作業のまま(全体の15%)

■ 次にやること
 様式を揃えるところから。〇月までに各部と調整する

「うまくいかなかったこと」の欄を、最初から用意しておくのがコツです。欄があると書けます。無いと書かなくなります。

まとめ

  • 効果は3種類。減った時間/減ったミス/見えるようになったことを分けて書く
  • 時間は作る前に1回測る。精度より、前後で同じ測り方をすることが大事
  • お金に換算するのは慎重に。削減時間は人件費にはならない
  • 空いた時間を何に使ったかまで書く。ここが書けないなら効果として弱い
  • 出なかったときはなぜ出なかったかを書く。そう書ける人が次を任される
  • 測ることに時間をかけない。代表1人に前後で聞く+言葉をそのまま引用
  • 報告書に「うまくいかなかったこと」の欄を最初から作っておく

作る前に測っておく、という一手間だけ忘れないでください。あとから取り返せない唯一のものです。

測り方を決めるところからご一緒することもできます。作る前にご相談いただけると、そこも含めて設計できます。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

業務棚卸しシート

「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 15 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。