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社員名簿も取引先一覧も3か所にある、を1か所に寄せる

同じ一覧が部署ごとに存在し、どれも少しずつ違う。全部を統合しようとすると失敗します。1つを正とし、残りをそこから作る、という順番の話。

読了 約4分 データ設計情報整理業務改善
  • 社員名簿が、人事・総務・情シスにそれぞれある
  • 取引先一覧が、営業・経理・購買にそれぞれある
  • 商品マスタが、営業用と製造用と経理用で少しずつ違う

どれも「うちだけかも」と言われますが、ほとんどの会社で起きています。そして、どれも少しずつ違う。誰かが「正しいのはどれですか」と聞くと、誰も答えられません。

なぜ3か所になるか

責める話ではないので、先に構造を書きます。

それぞれが、違う目的で持っているからです。

誰が何のために必要な項目
人事労務・給与生年月日、入社日、雇用形態
総務連絡・座席・備品内線、座席、貸与品
情シスアカウント・権限メール、端末、権限グループ

同じ「社員名簿」でも、必要な項目が違う。だから、それぞれが自分用に作ります。ここまでは自然な流れです。

問題は、共通する部分(氏名、所属)まで別々に管理していて、更新のタイミングがずれることです。異動があると、人事は直すけれど情シスは1週間後、総務は忘れる。

やってはいけないこと:全部を1つに統合する

いちばんよくある失敗が、「じゃあ全部まとめて1つの完璧なマスタを作りましょう」です。

これは、まず失敗します。

  • 全部署の項目を足すと、列が50個を超える
  • 「この項目は誰が入れるのか」で止まる
  • 見せてはいけない項目(給与、評価)が混ざるので、権限設計が重くなる
  • 誰も自分の目的に合わなくなり、結局それぞれが手元でコピーを作る

統合は目的ではありません。目的は「氏名と所属が全部で一致していること」です。そこだけ解けばいい。

やること:1つを「正」に決めて、残りはそこから作る

順番はこうです。

1. 共通部分だけを決める

まず、どの部署も持っている項目を洗い出します。社員なら、

  • 社員番号
  • 氏名
  • 所属
  • 在籍状況(在籍/休職/退職)

これだけです。4項目。ここから増やさないでください。増やした瞬間に「誰が入れるのか」問題が発生します。

2. 「正」を1つ決める

上の4項目について、どこが正しいかを1つに決めます。

社員なら人事、取引先なら経理(請求先が正しい必要があるので)、商品なら販売管理システム——というのが多いですが、大事なのは「決めること」であって、どこを選ぶかではありません。

決めるときの基準は、いちばん早く情報が入る場所です。異動情報は人事に最初に入ります。だから人事が正。

3. 残りは、そこから作る

各部署は、共通4項目を正から取ってきて、自分用の項目を足す形にします。

人事の名簿(正)
   ↓ 社員番号・氏名・所属・在籍状況
総務の名簿(+内線、座席、貸与品)
情シスの名簿(+メール、端末、権限)

取ってくる方法は、要件次第で選びます。

  • 月1回、CSVをもらって貼り替える(いちばん簡単。まずこれで足りることが多い)
  • SharePointリストに正を置いて、各部署はそれを参照する
  • Power Automate で、正が変わったら各部署のリストに反映する

最初から自動にしなくていいです。月1回の貼り替えでも、3か所がバラバラな今よりはるかにマシです。

「正」を決めた瞬間にやること

正に決めた部署に、「あなたのところが正です」と伝えること。これを言わないと、その部署は自分が正だと知らないまま、今までどおり雑に管理します。正になるということは、責任が増えるということなので、そこは合意が要ります。

4. 表記のゆれを、その場で潰す

寄せるときに必ず出るのが表記のゆれです。

ゆれる項目決めること
会社名「株式会社」を前か後か、(株)を使うか
部署名正式名称か略称か。「営業部」と「営業本部」
氏名姓名の間にスペースを入れるか。旧姓の扱い
社員番号前ゼロを付けるか(00123123

社員番号や取引先コードの前ゼロは、Excelで開くと消えます。これが原因で突き合わせが失敗するのは定番なので、扱いを決めておいてください(文字列として持つ、など)。

取引先マスタの場合の注意

社員より厄介です。

  • 同じ会社が2件登録されている(表記ゆれ、支店ごとの登録)
  • 請求先と納品先が違う(1社に複数の住所がある)
  • 過去に取引があって、今は無い会社が混ざっている

やることは同じですが、共通項目に「取引先コード」を必ず入れるのがポイントです。名前で突き合わせようとすると、表記ゆれで必ず崩れます。コードで突き合わせる。コードが無いなら、この機会に振ってください。

まとめ

  • 3か所に分かれるのは目的が違うから。それ自体は自然
  • 全部を1つに統合しない。列が増えて、権限が重くなって、誰も使わなくなる
  • 決めるのは共通する4項目だけ(コード/名称/所属や区分/有効か)
  • 「正」を1つ決める。基準は「いちばん早く情報が入る場所」
  • 残りは正から取ってきて、自分用の項目を足す。月1回のCSV貼り替えで十分から始める
  • 正に決めた部署に、正であることを伝えて合意を取る
  • 突き合わせは名前ではなくコードで。前ゼロの扱いを決める

「うちの場合どこを正にすべきか」から一緒に考えることもできます。今どこに何があるかを書き出すところから始めると、話が早いです。

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