「Excelの台帳が重くなってきた」「同時に開けなくて順番待ちが起きている」
この解決先として SharePoint リストは有力です。追加費用なしで使えて、同時に触れて、履歴が残り、Power Automate から素直につながります。
ただ、Excelの列をそのまま移すと、かえって使いにくくなります。移す前に整理しておくことが4つあります。
1. 「1行1件」になっているか
リストは、1行が1件のデータであることを前提にした入れ物です。
Excelでよくあるこういう形は、そのままでは移せません。
- 上に3行のタイトルや注意書きがある
- 見出しが2段(上段に「4月」、下段に「予算/実績」)
- 途中に小計行が挟まっている
- 表の下に集計や注釈がある
移す前に、見出し1行+データ行だけの形にします。小計や集計は、リスト側ではビューの集計機能で出せるので、データとしては持ちません。
月ごとに列が横に伸びている表(4月、5月、6月…)も、そのままだと詰みます。「年月」という列を1つ作って、縦に持つ形に変えます。行数は増えますが、あとの扱いが全部楽になります。
2. 列の型を決められるか
Excelは、同じ列に何を入れても怒りません。リストは型を決めます。ここでつまずくのが定番です。
移す前に、各列でこれを確認します。
| Excelでよくある状態 | リストではどうするか |
|---|---|
| 日付列に「未定」「3月末頃」が混ざっている | 日付列+備考列に分ける |
| 数値列に「-」「該当なし」が入っている | 空欄にする(0とは意味が違うので注意) |
| 「○」「済」「完了」が混在 | 選択肢列にして、値を1つに統一する |
| 担当者名が手入力 | ユーザー列にする(表記ゆれが消える) |
とくに選択肢列とユーザー列は、移したあとの効きが大きいところです。絞り込みも通知も、ここが揃っていないと素直に書けません。
選択肢に「その他」を入れるなら、必ず自由記入の列をセットで用意してください。「その他」だけあって中身が書けないと、何も分からない行が溜まります。逆に、その他が3割を超えたら、選択肢の設計が現実と合っていない合図です。
3. 添付ファイルの扱いを決めているか
Excelでは、ファイルへのパスをセルに書いて運用していることが多いです。共有フォルダのパス、あるいはリンク。
リストに移すときの選択肢は3つあります。
- 添付ファイル機能を使う(件数が少なく、1件あたり数個までなら素直)
- ドキュメントライブラリに置いて、リンク列で紐づける(ファイルが主役ならこちら)
- 今までどおり共有フォルダのパスを文字列で持つ(移行コストがゼロ。ただしリンク切れは自力で管理)
ファイルが主役なのか、データが主役なのかで選びます。契約書や図面のように「ファイルそのものを探しにくる」ならライブラリ側、台帳の付属資料ならリスト添付で足ります。
4. 何行あるか、そして何行まで増えるか
リストは大量の行を保持できますが、一度に表示・絞り込みできる件数には実務上の壁があります(既定では5,000件のあたりで、ビューの作り方によっては閲覧時にエラーになります)。
回避策はあります。
- ビューにフィルターを必ず入れる(「今年度分だけ」「自分の担当分だけ」)
- 絞り込みに使う列にインデックスを付ける
- 年度ごとにリストを分ける
大事なのは、5,000件を超えてから慌てないことです。移す前に「年間何件増えるか」を数えておけば、最初からビューをフィルター付きで作るだけで済みます。
そもそもリストに向かないExcel
移さないほうがいいものもあります。
- 計算が主役のもの。複雑な数式やシミュレーション。これはExcelのほうが強いです
- 見た目が成果物のもの。そのまま印刷して配る帳票、役員会資料
- 1人が自分のためだけに使っているもの。同時利用の問題が起きていないなら、移す理由がありません
「同時に触りたい」「履歴を残したい」「他の仕組みとつなぎたい」——このどれかに当てはまるものだけ移すのが、無駄がありません。
移し方の順番
まとめると、こうなります。
- 1行1件に整える(横に伸びた月列は縦に持ち替える)
- 列の型を決める。選択肢とユーザー列を使う
- ファイルの扱いを決める
- 件数の見込みを数えて、ビューにフィルターを入れる
- 移す。1か月は元のExcelを消さない(消すのは、誰も見に戻らなくなってから)
最後の5番目は地味ですが大事です。移した直後は必ず「あれが見当たらない」が起きます。戻れる状態にしておくと、その1回で運用が壊れずに済みます。
まとめ
- Excelの列をそのまま移さない。1行1件に整えるのが先
- 選択肢列とユーザー列を使う。表記ゆれと絞り込みの問題がここで消える
- 添付は「ファイルが主役か、データが主役か」で決める
- 年間の増加件数を数えて、ビューにフィルターを入れておく
- 計算が主役・見た目が成果物・1人用のものは、移さない
- 移したあと1か月は元のExcelを残す
移すかどうかの判断を含めて見ることもできます。今のExcelの列構成が分かれば、その場でだいたい判断できます。
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