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業務アプリの見積りが読めないのは、たぶん依頼側の準備が足りていない

同じ相談で見積りが3倍違うことがあります。原因は業者ではなく、渡した情報の粒度です。金額のブレを潰すために依頼側で決めておける5項目と、その1枚テンプレを配っています。

読了 約4分 見積り発注業務改善

「同じ内容で3社に聞いたら、30万・80万・200万と返ってきた。何が違うんですか」

だいたいの場合、業者の差ではなく、各社が想像した中身の差です。

情報が足りない見積りを出すとき、出す側は「たぶんこういうことだろう」で埋めます。慎重な会社は最大値で埋め、強気な会社は最小値で埋めます。3倍違うのは、その差です。

そして困るのは、安いほうを選んだあとで追加費用が出ることです。最初から入っていなかったので、追加は正当です。誰も悪くないのに揉めます。

これを潰すのは、依頼側でできます。5つ決めるだけです。

1. 使う人が何人で、誰か

「社内で使います」だけだと、想像の幅が広すぎます。

  • 5人が同じ部署で使う
  • 200人が全社で使う
  • 社外の取引先も入力する

この3つは、同じ機能でも別物です。人数が増えると権限設計・同時利用・教育が要り、社外が入ると認証とセキュリティの話が乗ります。

人数と、社外の人が触るかどうか。この2つは必ず書いてください。金額のブレがいちばん大きいのがここです。

2. 元のデータが今どこにあるか

  • Excel(何ファイル・何行くらいか)
  • 既存の社内システム(名前と、データを取り出せるかどうか)
  • 複数に分かれている

「既存システムとつなぎたい」が入ると、金額は跳ねます。つなげるかどうかを調べる工数が先に発生し、つなげないと分かることもあるからです。

ここで書いておくと効くのは、「つながらなければCSVの受け渡しでも構わない」かどうかです。これが許されるなら、多くの場合ぐっと安くなります。

3. 承認や判断が、いくつ入るか

入力して保存するだけのものと、承認が3段あるものでは、作る量がまるで違います。

書いてほしいのは、

  • 承認の段数
  • 差し戻しがあるか
  • 金額や内容で分岐するか(例:10万円以上は部長も承認)
  • 代理承認が要るか(不在時に誰が押すか)

最後の「代理承認」は、見積り段階では出てこないのに、作りはじめると必ず出てくる項目です。先に書いておくと、後出しの追加費用になりません。

後から出てきて揉めやすいもの

代理承認、期限切れの自動督促、過去データの移行、帳票の印刷レイアウト、スマートフォン対応。この5つは「当然入っていると思った」と「聞いていない」がぶつかりやすい定番です。要る/要らないを先に書くだけで、揉めごとが減ります。

4. いつまでに、なぜその日か

「なるべく早く」は情報がゼロです。書くなら理由まで書きます。

  • 4月の組織変更に間に合わせたい
  • 今の担当者が9月で退職する
  • 特に期限はない

理由が書いてあると、間に合わないときに代案が出せます。「全部は無理ですが、入力部分だけなら4月に間に合います」といった提案は、理由を知らないとできません。

期限がないなら「ない」と書いてください。急がせないだけで安くなることがあります。

5. 作ったあと、誰が直すか

これは金額そのものより、作り方を変えます。

  • 自分たちで直したい → 分かりやすさ優先。手順書と引き継ぎの時間が要る
  • 外部に任せる → 凝った作りにできる。そのかわり毎回費用がかかる

どちらが正しいということはありません。決まっていないことが問題です。決まっていないと、見積りには「保守運用は別途」と書かれ、そのまま曖昧になります。


逆に、依頼側が書かなくていいこと

ここも大事なので書いておきます。

  • 画面のデザイン案(先に固めると、かえって作りにくくなります)
  • 使うツールの指定(Power Apps でも kintone でも、目的が達成できればいい。指定すると選択肢が減るだけ)
  • 細かい機能の一覧(「こういう機能が欲しい」ではなく「こう困っている」のほうが良い提案が返ってきます)

症状を書いてください。処方は向こうの仕事です。

1枚にまとめたテンプレを置いています

上の5項目を埋めるだけのシートを、資料室に置いています。登録は要りません。

これを埋めて渡すと、どこの会社に頼むにしても見積りの精度が上がります。うち以外に出してもらって構いません。むしろ複数社に同じものを渡してもらったほうが、比較として正しくなります。

まとめ

  • 見積りが3倍違うのは、各社が想像で埋めた中身の差
  • 依頼側で決めておけるのは5つ。人数と社外の有無/元データの場所/承認の段数/期限とその理由/あとで誰が直すか
  • 代理承認・督促・データ移行・印刷・スマホ対応は、後から揉めやすい定番。先に要否を書く
  • デザイン案・ツール指定・機能一覧は書かなくていい。症状を書けば足ります

埋めてみて「そもそもこれ、作るべきなんだろうか」となったら、それも含めて相談してください。作らない結論になることもあります。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

開発依頼まとめシート

業務アプリを外に頼むとき、これを埋めて渡すと見積りのブレが小さくなります。人数・元データ・承認の段数・期限・あとで誰が直すかの5項目に、後から揉めやすい定番の要否チェックを足した1枚です。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 10 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。