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社内でPower Platformを教えるなら、何を教えて何を教えないか

機能を網羅する研修をやると、終わった翌週には誰も作りません。1日で「自分で1本作れる」ところまで持っていくための内容の絞り方と、研修より効く仕掛け。

読了 約4分 内製化Power Apps教育

内製化を進めるとき、必ず「まず研修をやりましょう」という話になります。

そして多くの場合、こうなります。研修は好評だったのに、翌週から誰も作らない。

原因は講師の質でも受講者のやる気でもなく、内容の設計です。機能を網羅する研修は、受けている間は分かった気になりますが、いざ自分の業務に向き合うと「どこから手をつければいいか分からない」で止まります。

教えないもの

先にこちらを決めるほうが早いです。1回目には要りません。

  • 機能の一覧。「こんなことができます」は、できることが多すぎて逆に選べなくなります
  • 関数の網羅。必要になったときに調べれば足ります
  • データベース設計の理論。最初はSharePointリスト1本で足ります
  • ライセンス体系の全体像。「Microsoft 365 の範囲で作る」とだけ決めておけば、最初は困りません
  • きれいな画面の作り方。見た目を整えるのは、動いてからで構いません

これらを削ると、内容が半分以下になります。半分以下になって、はじめて1日に収まります。

教えるもの

代わりに入れるのは、この4つです。

1. 題材の選び方(ここに時間を使う)

いちばん大事なのに、いちばん飛ばされます。

  • 自分(かすぐ隣の人)が困っていること
  • 関係者3人以下
  • 判断が入らない
  • 止まってもその日は困らない

この条件と、なぜその条件なのかを説明します。そして、その場で各自に題材を決めてもらう。決まらない人がいたら、そこを一緒に考える時間を取ります。詳しくは Power Apps で最初に作るなら、何がいいか に書きました。

2. データを先に決める、という順番

初心者がいちばん詰まるのは、画面を先に作ってしまうことです。

  • 何を、何行、どんな型で持つか(SharePointリストの列を決める)
  • 1行1件になっているか
  • 選択肢列とユーザー列を使う

リストを作ってから画面を作る。この順番を体に入れてもらうだけで、後の手戻りが大幅に減ります。

3. 動くところまでを、1回通す

「リストを作る → アプリを自動生成する → 少し直す → 自分のスマートフォンで開く」。ここまでを、全員が1回やります。

自分のスマートフォンで開けた瞬間が、いちばん効きます。ここで「作れるかもしれない」と思ってもらえるかどうかが、その後を決めます。

4. 詰まったときの調べ方

全部を教えることはできないので、詰まったときにどうするかを教えます。

  • エラーメッセージをそのまま検索する
  • 公式ドキュメントのどこを見るか
  • 生成AIへの聞き方(何を作りたいか+今どうなっているか+エラー文、をセットで貼る)
  • 社内で誰に聞くか

最後の「社内で誰に聞くか」を用意しておくのが大事です。聞ける相手がいないと、詰まった時点で終わります。

研修の最後にやること

「次の1週間で何を作るか」を、その場で宣言してもらってください。そして1週間後に集まる日程を、研修の日に決めてしまう。これが無いと、翌週の忙しさで消えます。研修そのものより、この30分の再集合のほうが効きます。

研修より効くもの

正直に言うと、研修は必要条件ですが十分条件ではありません。受けただけでは続きません。

続くかどうかを決めるのは、研修の外にあります。

  • 業務時間の中に「作る時間」があるか(週2時間でいい。上司が承知していること)
  • 詰まったときに聞ける相手がいるか
  • 作ったものが評価されるか(作ったこと自体が、業務として認められるか)

このうち1つめが飛び抜けて効きます。研修に予算をかけるより、週2時間の枠を確保するほうが安くて効く、というのが実感です。詳しくは 内製化が続かない会社と、続く会社の違い に書きました。

人数と進め方

  • 1回あたり5〜8人。それ以上だと、詰まった人を拾えません
  • 1日、あるいは半日×2回。半日×2回のほうが、間に自分でやる時間ができるので定着しやすい
  • 全社から集めるより、同じ部署から複数人のほうがいい。帰ってから相談できます

最後の点は見落とされがちです。1人だけ研修に出しても、帰ってから孤立します。2人以上を同じ部署から出すのが、続けるコツです。

まとめ

  • 教えないもの:機能一覧・関数の網羅・DB設計の理論・ライセンス体系・見た目の作り込み
  • 教えるもの:題材の選び方/データを先に決める順番/動くまでを1回通す/詰まったときの調べ方
  • 研修の最後に「次の1週間で何を作るか」を宣言させ、1週間後の再集合をその場で決める
  • 研修より効くのは、週2時間の枠・聞ける相手・作ったことが評価されること
  • 同じ部署から2人以上出す。1人だと帰ってから孤立する

研修そのものより、その前後の設計のほうが結果を左右します。「うちの場合どう組むか」から一緒に考えることもできます。まずは今の状況を聞かせてください。

この記事で使うシートを配っています

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「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。

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Excel(.xlsx) / 15 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。