ホーム読みもの

Power Apps で最初に作るなら、何がいいか

練習用のサンプルではなく、実務で使えて、しかも失敗しにくい題材があります。選ぶ条件を4つに絞ったうえで、具体的な候補と、最初は避けたほうがいいものを挙げます。

読了 約4分 Power Apps内製化業務効率化

Power Apps を触れる環境ができた。研修も受けた。では最初に何を作るか——ここの選び方で、その後が続くかどうかがかなり決まります。

チュートリアルの写経は、写経が終わった時点で終わります。実務で使うものを1本作りきるほうが、身に付き方がまったく違います。

ただし、題材を間違えると1本目で止まります。

選ぶ条件は4つ

  • 自分(か、すぐ隣の人)が困っていること。他部署の困りごとを題材にすると、要件を聞きに行く時間のほうが長くなります
  • 関係者が3人以下。増えるほど決めることが増えます
  • 判断が入らない。入力して、一覧で見て、通知する。この範囲に収める
  • 止まってもその日は困らない。止まると業務が止まるものを1本目にすると、慎重になりすぎて進みません

この4つを満たすものを探すと、候補はかなり絞られます。そして、絞られたものはだいたい作れます。

具体的な候補

実際によく1本目になっているのは、このあたりです。

備品・貸出物の管理誰が何を借りているか。入力は「品目を選ぶ・借りる/返す・自分の名前(自動)」の3つ。一覧で「今、誰が持っているか」が見えれば、それだけで用が足ります。判断が入らず、止まっても困りません。

簡易な受付・依頼の記録ひとり情シスが最初に手放すべき仕事 に書いた依頼の入口も、1本目に向いています。項目が少なく、効果がすぐ出ます。

現場の点検・確認記録毎日の点検表を紙でつけているなら、スマートフォンで入力できるようにする。写真を添えられるのが紙に対する明確な利点になります。項目を増やしすぎないのがコツです。

在庫の入出庫記録台帳が合わない問題を抱えているなら、記録するところだけ先にアプリにするのが有効です(Excelの在庫台帳が合わなくなる原因)。集計や発注点の管理は後回しでいい。

社内の連絡先・担当表地味ですが、需要は確実にあります。Excelの担当表がメールで回っていて、誰が最新版を持っているか分からない——という状態は多い。作るのも簡単です。

データの置き場所は SharePoint リストから

1本目でDataverseから入らないほうがいいです。理由は機能ではなく、ライセンスと、後戻りのしやすさです。

SharePoint リストなら、

  • Microsoft 365 の範囲で使えて、追加費用の話が発生しない
  • アプリを消しても、データはリストに残る。作り直しやすい
  • 列の型・選択肢・ユーザー列が使えて、実務にはだいたい足りる

注意点は件数です。ビューにフィルターを入れておく、というのは ExcelをそのままSharePointリストに移すと に書いたとおりです。

Dataverse が要るのは、リレーションが複雑になったとき、細かい権限が要るとき、監査ログが要るとき。1本目でそこに当たることはまずありません。

最初は避けたほうがいい題材

逆に、1本目に選ぶと苦労するものです。

  • 承認が何段もあるもの。決めることが多く、関係者も増えます(紙の申請書をやめるとき
  • お金が動くもの。間違えたときの影響が大きく、慎重になって進まなくなります
  • 既存システムとつなぐもの。つなげるかどうかの調査に時間がかかり、プレミアムコネクタが要ることもあります
  • 全社で使うもの。権限設計と教育が乗ります。1本目にやる規模ではありません
  • 紙の帳票をそのまま再現するもの。画面と紙は向いていることが違います

作るときに、最初から守っておくこと

1本目から癖をつけておくと、後が楽です。

  • 画面や項目の名前を日本語にする(Label1 ではなく 件名ラベル
  • 手順書を1ページ書く。「どこを開いて、どこを直すか」だけでいい
  • 誰かに作る過程を見せる。完成品を説明するより、途中を見てもらうほうが引き継げます
  • 動くようになったら、すぐ本番で使ってもらう。きれいにしてから出そうとすると出ません

最後がいちばん大事です。7割の出来で出して、使いながら直す。そのほうが、結果的にいいものになります。

まとめ

  • 題材の条件は4つ。自分の困りごと/3人以下/判断が入らない/止まっても困らない
  • 候補は備品貸出・依頼受付・点検記録・在庫の入出庫・担当表あたり
  • データは SharePoint リストから。追加費用が発生せず、作り直しやすい
  • 避けるのは多段承認・お金・既存システム連携・全社利用・紙の再現
  • 日本語の名前、1ページの手順書、作る過程を見せる、7割で出す

1本目が終わると、2本目は驚くほど早くなります。逆に1本目で止まると、そこで終わります。題材選びは、技術より重要だと思っています。

「うちだと何が1本目に向いているか」を一緒に見ることもできます。業務棚卸しシートを埋めておいてもらえると、その場で候補を絞れます。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

業務棚卸しシート

「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 15 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。