- 「ネットが遅い」と言われるが、どこが原因か分からない
- 回線を太くする見積りを取ったが、それで直るのか自信がない
- 特定の場所だけ、Wi-Fiが切れる
- 時間帯によって遅くなる
回線契約を変える前に、切り分けをしてください。原因が回線だったことは、実はそれほど多くありません。順番に見れば、費用をかけずに直ることがあります。
切り分けの順番
上から順に確認します。下に行くほど費用がかかるので、この順番に意味があります。
1. 誰が、いつ、何をすると遅いのか
「遅い」だけでは動けません。次を聞いてください。
- 全員か、その人だけか
- いつもか、特定の時間帯か(朝9時台、昼休み、月末)
- 何をするときか(ファイルを開く、Teamsの会議、特定のサイト、印刷)
- 有線か、Wi-Fiか
この4つで、原因の半分は絞れます。
| 答え | 疑うところ |
|---|---|
| その人だけ・いつも | その端末(PCの性能、常駐ソフト、ディスク) |
| 全員・特定の時間帯 | 回線の混雑、または誰かが大きい通信をしている |
| 全員・いつも | 回線か、社内の機器 |
| Wi-Fiのときだけ | 無線の環境(電波、アクセスポイントの台数) |
| 特定のサイト・サービスだけ | 相手側、または経路 |
体感の遅さの多くは、PCそのものが遅いことが原因です。特に、ディスクがHDDのままの端末、メモリが4GBの端末、常駐しているセキュリティソフトが重い端末。ネットワークを調べる前に、その端末のタスクマネージャーを開いてみてください。CPUやディスクが常時100%なら、回線は関係ありません。
2. 端末を疑う
- ディスクがHDDか、SSDか(HDDなら、これが最大の原因です)
- メモリの使用率(起動直後から80%を超えていないか)
- 起動しているソフトの数
- Windows Update が動いていないか
- OSのサポート期限は切れていないか(サポートが切れたPCが社内に残っている)
HDDの端末をSSDに替えると、体感が変わります。「ネットが遅い」という申告が、これで消えることが本当にあります。
3. 無線の環境を疑う
Wi-Fiのときだけ遅いなら、ここです。
- アクセスポイントの台数が足りているか(1台で何十人も接続していないか)
- 電波が届かない場所がないか(壁、金属、距離)
- 周りの電波と干渉していないか(近隣の店舗、電子レンジ)
- 古い規格のまま使っていないか
台数が足りない場合、回線を太くしても直りません。アクセスポイントを増やすほうが安く済むことが多いです。
簡単な確認方法:遅いと言われる場所で、スマホの電波表示とWi-Fiの速度を測ってみてください。事務所の中で場所を変えて数回測ると、どこが弱いかが分かります。
4. 社内の機器を疑う
- スイッチ(HUB)が古い(100Mbpsのままのものが混ざっていないか)
- LANケーブルの規格が古い、または傷んでいる
- ルーター・ファイアウォールの処理が追いついていない
古いHUBが1台挟まっているだけで、その先が全部遅くなります。事務所の島ごとに置かれている小さなHUBは、10年以上前のものが残っていることがあります。現物を見に行ってください。
5. 回線を疑う
ここまで来て、初めて回線です。
- 契約している速度と、実際に出ている速度
- 時間帯による変動
- 上りと下りの両方を測る(クラウドを使う会社では、上りが効きます)
測るのは、同じ場所・同じ時間帯で数日やってください。1回だけの測定では判断できません。
誰かが大きい通信をしている場合
特定の時間だけ全体が遅くなるなら、これを疑います。
- 大きいファイルの同期(OneDriveの初回同期は重いです)
- バックアップが業務時間に動いている
- Windows Update の一斉配信
- 動画の視聴
バックアップとUpdateは、時間をずらせます。夜間に動かすように設定を変えるだけで、日中が軽くなることがあります。
全ファイルを端末にダウンロードする設定になっていると、初回と大量更新時に重くなります。「ファイル オンデマンド」を有効にすると、必要なときだけ取りに行く形になります。端末の容量も空きます(ファイルサーバーをやめて、クラウドに移せるか)。
記録を残す
「遅い」の申告は感覚なので、記録がないと改善したかどうかも分かりません。
簡単な表で足ります。
日付 / 場所 / 誰が / 何をしたとき / 有線かWi-Fiか / 測った速度 / 対応したこと
3件も集まると、傾向が見えます。「2階の奥だけ」「月末の午前だけ」のように、原因が絞られます。
回線を変えるときに確認すること
切り分けの結果、本当に回線だった場合。
- 上りの速度(クラウドを使うなら、ここが効きます)
- ベストエフォートか、帯域確保型か
- 社内の機器が、その速度に対応しているか(1Gbpsの回線に、100Mbpsのルーターがつながっていては意味がありません)
3番目を忘れると、回線を替えたのに変わらない、ということが起きます。回線と社内機器はセットで見てください。
まとめ
- 回線を太くする前に切り分ける。原因が回線だったことは多くない
- まず誰が・いつ・何をすると・有線かWi-Fiかを聞く
- 体感の遅さは、PCそのものが遅いことが多い。タスクマネージャーを見る
- HDDをSSDに替えると、それだけで解決することがある
- Wi-Fiだけ遅いなら、アクセスポイントの台数と電波
- 古いHUBが1台挟まっているだけで、その先が遅くなる。現物を見に行く
- 回線を疑うのは最後。上りと下りを、数日測る
- バックアップとUpdateの時間をずらすだけで日中が軽くなることがある
- OneDriveはファイル オンデマンドで軽くなる
- 申告を表で記録する。3件で傾向が見える
- 回線を替えるときは、社内の機器が対応しているかも確認する
まず、遅いと言われている端末のタスクマネージャーを開いてみてください。そこで終わることが、けっこうあります。
この記事で使うシートを配っています
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