全員が出社していた頃は回っていた業務が、在宅が混ざると詰まる。
全員在宅のほうが、実はまだ楽です。全員が同じ条件だからルールが1つで済む。難しいのは、日によって半分が在宅で半分が出社という状態です。
壊れるのは、だいたい決まった4か所です。
1. 紙とハンコが残っている業務
在宅の人は押せません。そして「出社日にまとめて押す」運用になり、承認が数日単位で止まります。
短期の対処と、根本の対処があります。
短期
- 出社日を把握できるようにして、押せる人がいる日に回す
- 代理承認を明示的に決める(不在時に誰が押すか。これは在宅と関係なく必要な決めごとです)
根本
- 紙の申請書をやめるとき、いきなりアプリを作らないほうがいい理由 の通り、入口だけ先に変える
- 全部を電子化しなくていい。承認の段数を減らすほうが先に効きます
2. 「聞けば分かる」で回っていた業務
オフィスにいれば、隣の席の人に聞いて30秒で解決していたことが、在宅だと止まります。
- チャットで聞く → 相手が会議中で1時間待つ
- 誰に聞けばいいか分からない → 聞かずに止まる
- 聞くこと自体が申し訳なく感じて、聞かなくなる
これは在宅の問題ではなく、口頭で回っていた業務が可視化されただけです。
対処は、ひとり情シスが最初に手放すべき仕事 や 電話の問い合わせが多くて、記録も残らない と同じで、
- よく聞かれることを、書いて置く(1件1ページ)
- 誰に聞けばいいかの一覧を作る(組織図ではなく、「この件はこの人」の一覧)
- 聞く場所を1つ決める(個人チャットではなく、チャネル。他の人も答えられるし、後から検索できる)
3つめが効きます。個人宛のチャットで聞くと、その人が忙しいときに止まりますが、チャネルなら他の誰かが答えられます。
3. 「なんとなく見えていた」ことが見えなくなる
- 誰が何をやっているか
- どれが止まっているか
- 忙しそうかどうか
これが見えないので、上長が不安になって、報告を増やそうとします。そして日報が増え、会議が増え、現場の時間が減ります。
やるべきは、報告を増やすことではなく作業そのものを見えるようにすることです。
- 依頼や案件を一覧で持つ(誰が持っていて、どの状態か)
- 状態に「相手待ち」を入れる(自分が動けないものが分かる)
- 上長は、その一覧を見る。報告させるのではなく、見に行く
これは メールに埋もれる依頼を、受け側で止める に書いた形と同じです。一覧が1つあると、報告の頻度を減らせます。
4. 会議が「出社組の会議+在宅の人」になる
いちばん起きやすい失敗です。
会議室に5人集まって、2人がオンライン。すると、
- 会議室の音が拾えず、在宅の人は聞き取れない
- ホワイトボードが見えない
- 雑談から本題に入る流れに乗れない
- 在宅の人が発言しないまま終わる
対処は単純ですが、意識しないとできません。
- 全員が個別に端末から参加する(同じ部屋にいても)。これがいちばん確実です
- 難しければ、画面共有を必ず使う(ホワイトボードを使わない)
- 進行役が、在宅の人に名指しで話を振る
- 決まったことは、その場でチャットに書く(後から追える)
「同じ部屋にいるのに別々の端末から入る」は最初は変な感じがしますが、全員の条件が揃うことの効果が大きいです。
会議で決まったことをその場のチャットに書くのは良いのですが、チャットは流れます。残す必要があるものは、ファイルや一覧のほうも直す。この二度手間を省くと、半年後に「投稿では新ルール、ファイルは旧ルール」になります(Teamsに流した情報が消える問題)。
出社日を、業務で決める
最後にひとつ。「週◯日出社」を人単位で決めている会社が多いですが、業務単位で考えると詰まりが減ります。
- 出社しないとできない業務(郵便物、押印、来客、現物確認、機器の操作)を洗い出す
- それを特定の曜日にまとめる
- その曜日に、担当できる人が出社していればいい
「全員が週3出社」より、「郵便と押印は火曜と木曜に処理する」と決めるほうが、実務は回ります。
そして、洗い出した「出社しないとできない業務」のリストは、そのまま次の改善対象のリストになります。押印が入っているなら、そこが電子化の候補です。
まとめ
- 難しいのは全員在宅ではなく、日によって混ざる状態
- 壊れるのは4か所。紙とハンコ/聞けば分かるで回っていた業務/見えなくなること/会議
- 紙は、代理承認を決める(短期)+入口を変える/段数を減らす(根本)
- 「聞けば分かる」は、書いて置く・誰に聞くかの一覧・聞く場所をチャネルに
- 見えなくなったら、報告を増やさず、作業の一覧を作って上長が見に行く
- 会議は、同じ部屋にいても全員が個別の端末から参加する
- 出社日は人単位ではなく、出社しないとできない業務を曜日にまとめる
- その業務リストが、次に電子化すべきもののリストになる
「うちだとどこが詰まっているか」を洗い出すところからでも構いません。業務ごとに見ていくと、手を打つべき箇所は思ったより少ないことが多いです。
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