- 社内のファイルサーバー(NAS)が古くなってきた。壊れたらどうなるか怖い
- SharePoint や OneDrive に移せると聞いたが、容量も中身も多すぎる
- 一度移そうとして、アクセス権の設定で止まった
- 「全部そのまま移してほしい」と言われている
移せます。ただし、「全部そのまま」は失敗します。理由は容量ではなく、そのまま移すと、今の散らかった状態も一緒に移るからです。移したあとに誰も探せなくなって、結局元のサーバーを残すことになります。
最初にやるのは、移す作業ではありません
中身を3つに仕分けるところが実務の8割です。
| 分類 | 中身 | 行き先 |
|---|---|---|
| 使っている | 直近1〜2年で開かれている | クラウドへ移す |
| 使っていないが消せない | 契約書、図面、過去の帳票 | 保管用の置き場へ(安いストレージ、または外付け) |
| 要らない | 重複、旧版、個人の私物 | 捨てる |
仕分けの方法
手で見る必要はありません。最終アクセス日で機械的に分けられます。
- Windows のエクスプローラーで、フォルダのプロパティから容量を見る
- PowerShell で、最終更新日ごとの容量を集計する
だいたい次のような結果になります。
直近1年で更新あり … 全体の 15〜25%
1〜3年前 … 20〜30%
3年以上前 … 50〜60%
移すべきものは、実は全体の2割程度です。ここが分かると、話が急に現実的になります。
判断がつかないものは、消さずに保管用に移すだけにしてください。「捨てる」判断は誰も引き受けたがりません。「移す/移さない」の2択にすると、判断が進みます。保管先の費用は、クラウドの安い階層なら微々たるものです。
どこに移すか
Microsoft 365 を使っているなら、行き先は3つに分かれます。
| 行き先 | 何を置くか |
|---|---|
| SharePoint のチームサイト | 部署・プロジェクトで共有するもの(大半はここ) |
| Teams のチャネル | 実体は SharePoint。会話とセットで使うもの |
| OneDrive | 個人の作業中のファイルだけ |
間違えやすいのが3つ目です。共有するものを OneDrive に置かないでください。その人が辞めたときに、消えるか、探せなくなります(退職者のアカウントが残っている)。
「とりあえず OneDrive に全部移す」は、いちばんやってはいけない移し方です。
フォルダ構成は、移すときにしか直せません
移行は、構成を直す唯一のチャンスです。稼働中に直すのは反発が大きく、まず通りません。
深さは3階層までにしてください。
営業部/
2026年度/
見積・提案/
契約/
4階層以上あるものは、たいてい分類が細かすぎます。SharePointは検索が効くので、フォルダで細かく分ける必要は紙のときほどありません(共有フォルダのどこに何があるか分からない)。
アクセス権で止まる理由と、その避け方
ここで挫折する会社が多いです。原因ははっきりしています。
今のサーバーのアクセス権が、フォルダごとにバラバラに設定されているからです。それを1対1で再現しようとすると、終わりません。
やり方
再現しないでください。サイト単位で設計し直します。
- 部署ごと、または大きな業務ごとにサイトを分ける
- サイト単位でアクセスできる人を決める(部署のメンバー全員、など)
- サイトの中は、基本的に全員が見られる
- 例外(人事・給与・契約)だけ、別サイトにする
「フォルダごとに違う権限」をやめて、「見せたくないものは別のサイトにする」に切り替えます。これで設定量が10分の1以下になります。
「このフォルダだけ営業3課は見えない」という設定を1つ作ると、それを覚えている人がいなくなった時点で触れなくなります。例外はサイトを分けて表現する。これは移行のときに徹底する価値があります(チームとサイトが増えすぎて把握できない)。
移す手順
1. 試験的に1部署だけ移す
いきなり全社をやらないでください。いちばん協力的な部署を1つ選んで、そこだけ移します。
ここで出た問題(パスの長さ、使えない文字、リンク切れ、動きの違い)を洗い出してから、他に広げます。
2. ファイル名で引っかかるものを、先に洗う
移行で必ず出るのが、ファイル名の問題です。
- パスが長すぎる(フォルダの階層が深く、名前も長い)
- 使えない文字が入っている(
~#%&*:<>?/など) - 名前の末尾に空白やピリオドがある
移す前にスクリプトで洗い出せます。これを先にやらないと、移行の途中で止まって原因調査に時間を取られます。
3. 移行の期間、両方見られる状態にする
移した直後に元を消さないでください。1〜2か月は元のサーバーを読み取り専用で残します。
ただし、書き込みは止めてください。両方に書ける状態にすると、どちらが最新か分からなくなります。ここは厳しくやる必要があります。
4. 元のサーバーを止める日を、先に決めて告知する
期限がないと、いつまでも移りません。「◯月◯日に読めなくなります」と最初に告知してください。
告知は3回。1か月前、1週間前、前日です。
移したあとに起きること
覚悟しておくことが2つあります。
「探せない」という声が必ず出ます。フォルダの場所が変わったからです。対策は、移行前の場所と移行後の場所の対応表を作って配ること。1枚で足ります。
同期の設定でトラブルが出ます。OneDrive の同期は便利ですが、全部を同期すると端末の容量を食います。「ファイル オンデマンド」の設定と、同期するフォルダを絞ることを、移行時に説明してください。
まとめ
- 「全部そのまま」は失敗する。散らかった状態も一緒に移るから
- 実務の8割は仕分け。最終アクセス日で機械的に分けられる
- 移すべきは全体の2割程度であることが多い
- 判断は「捨てる/残す」ではなく「移す/移さない」の2択にする
- 共有するものをOneDriveに置かない
- フォルダは3階層まで。移行が構成を直す唯一の機会
- アクセス権は再現しない。サイト単位で設計し直す。例外はサイトを分ける
- 1部署で試す。ファイル名の問題を先に洗う
- 移行中は元を読み取り専用に。両方に書けるようにしない
- 止める日を先に決めて、3回告知する
- 移行後は場所の対応表を配る
まず、サーバーの中身を最終更新日で集計してみてください。全体の何割が生きているかが分かれば、規模の話ができるようになります。
この記事で使うシートを配っています
業務棚卸しシート
「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。
ダウンロード(無料・登録不要)読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ
OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。
「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。