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ファイルサーバーをやめて、クラウドに移せるか

移せます。ただし全部を一度に移すと失敗します。移すもの・置いていくもの・捨てるものに分けるところが実務の8割です。

読了 約6分 情報整理ファイル管理移行
  • 社内のファイルサーバー(NAS)が古くなってきた。壊れたらどうなるか怖い
  • SharePoint や OneDrive に移せると聞いたが、容量も中身も多すぎる
  • 一度移そうとして、アクセス権の設定で止まった
  • 「全部そのまま移してほしい」と言われている

移せます。ただし、「全部そのまま」は失敗します。理由は容量ではなく、そのまま移すと、今の散らかった状態も一緒に移るからです。移したあとに誰も探せなくなって、結局元のサーバーを残すことになります。

最初にやるのは、移す作業ではありません

中身を3つに仕分けるところが実務の8割です。

分類中身行き先
使っている直近1〜2年で開かれているクラウドへ移す
使っていないが消せない契約書、図面、過去の帳票保管用の置き場へ(安いストレージ、または外付け)
要らない重複、旧版、個人の私物捨てる

仕分けの方法

手で見る必要はありません。最終アクセス日で機械的に分けられます。

  • Windows のエクスプローラーで、フォルダのプロパティから容量を見る
  • PowerShell で、最終更新日ごとの容量を集計する

だいたい次のような結果になります。

直近1年で更新あり  … 全体の 15〜25%
1〜3年前          … 20〜30%
3年以上前         … 50〜60%

移すべきものは、実は全体の2割程度です。ここが分かると、話が急に現実的になります。

「消していいか分からない」で止まらない

判断がつかないものは、消さずに保管用に移すだけにしてください。「捨てる」判断は誰も引き受けたがりません。「移す/移さない」の2択にすると、判断が進みます。保管先の費用は、クラウドの安い階層なら微々たるものです。

どこに移すか

Microsoft 365 を使っているなら、行き先は3つに分かれます。

行き先何を置くか
SharePoint のチームサイト部署・プロジェクトで共有するもの(大半はここ)
Teams のチャネル実体は SharePoint。会話とセットで使うもの
OneDrive個人の作業中のファイルだけ

間違えやすいのが3つ目です。共有するものを OneDrive に置かないでください。その人が辞めたときに、消えるか、探せなくなります(退職者のアカウントが残っている)。

「とりあえず OneDrive に全部移す」は、いちばんやってはいけない移し方です。

フォルダ構成は、移すときにしか直せません

移行は、構成を直す唯一のチャンスです。稼働中に直すのは反発が大きく、まず通りません。

深さは3階層までにしてください。

営業部/
  2026年度/
    見積・提案/
    契約/

4階層以上あるものは、たいてい分類が細かすぎます。SharePointは検索が効くので、フォルダで細かく分ける必要は紙のときほどありません(共有フォルダのどこに何があるか分からない)。

アクセス権で止まる理由と、その避け方

ここで挫折する会社が多いです。原因ははっきりしています。

今のサーバーのアクセス権が、フォルダごとにバラバラに設定されているからです。それを1対1で再現しようとすると、終わりません。

やり方

再現しないでください。サイト単位で設計し直します。

  1. 部署ごと、または大きな業務ごとにサイトを分ける
  2. サイト単位でアクセスできる人を決める(部署のメンバー全員、など)
  3. サイトの中は、基本的に全員が見られる
  4. 例外(人事・給与・契約)だけ、別サイトにする

「フォルダごとに違う権限」をやめて、「見せたくないものは別のサイトにする」に切り替えます。これで設定量が10分の1以下になります。

例外を作るほど、あとで誰も管理できなくなります

「このフォルダだけ営業3課は見えない」という設定を1つ作ると、それを覚えている人がいなくなった時点で触れなくなります。例外はサイトを分けて表現する。これは移行のときに徹底する価値があります(チームとサイトが増えすぎて把握できない)。

移す手順

1. 試験的に1部署だけ移す

いきなり全社をやらないでください。いちばん協力的な部署を1つ選んで、そこだけ移します。

ここで出た問題(パスの長さ、使えない文字、リンク切れ、動きの違い)を洗い出してから、他に広げます。

2. ファイル名で引っかかるものを、先に洗う

移行で必ず出るのが、ファイル名の問題です。

  • パスが長すぎる(フォルダの階層が深く、名前も長い)
  • 使えない文字が入っている(~ # % & * : < > ? / など)
  • 名前の末尾に空白やピリオドがある

移す前にスクリプトで洗い出せます。これを先にやらないと、移行の途中で止まって原因調査に時間を取られます。

3. 移行の期間、両方見られる状態にする

移した直後に元を消さないでください。1〜2か月は元のサーバーを読み取り専用で残します。

ただし、書き込みは止めてください。両方に書ける状態にすると、どちらが最新か分からなくなります。ここは厳しくやる必要があります。

4. 元のサーバーを止める日を、先に決めて告知する

期限がないと、いつまでも移りません。「◯月◯日に読めなくなります」と最初に告知してください。

告知は3回。1か月前、1週間前、前日です。

移したあとに起きること

覚悟しておくことが2つあります。

「探せない」という声が必ず出ます。フォルダの場所が変わったからです。対策は、移行前の場所と移行後の場所の対応表を作って配ること。1枚で足ります。

同期の設定でトラブルが出ます。OneDrive の同期は便利ですが、全部を同期すると端末の容量を食います。「ファイル オンデマンド」の設定と、同期するフォルダを絞ることを、移行時に説明してください。

まとめ

  • 「全部そのまま」は失敗する。散らかった状態も一緒に移るから
  • 実務の8割は仕分け。最終アクセス日で機械的に分けられる
  • 移すべきは全体の2割程度であることが多い
  • 判断は「捨てる/残す」ではなく「移す/移さない」の2択にする
  • 共有するものをOneDriveに置かない
  • フォルダは3階層まで。移行が構成を直す唯一の機会
  • アクセス権は再現しない。サイト単位で設計し直す。例外はサイトを分ける
  • 1部署で試す。ファイル名の問題を先に洗う
  • 移行中は元を読み取り専用に。両方に書けるようにしない
  • 止める日を先に決めて、3回告知する
  • 移行後は場所の対応表を配る

まず、サーバーの中身を最終更新日で集計してみてください。全体の何割が生きているかが分かれば、規模の話ができるようになります。

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