社内のアンケートや申請をフォームにするのは、比較的すんなり進みます。ところが同じ感覚で社外向けに出すと、いくつか別の問題が出てきます。
社内なら「ログイン情報から氏名が取れる」「届かなければ聞きに行ける」「個人情報の扱いは既存の規程がある」。社外だと、そのどれも前提が変わります。
作る前に決めておくことを6つ書きます。
1. 誰に、どこへ届くか
いちばん多い事故が、送信されているのに誰も気づいていないというものです。
- 通知先は個人のメールではなく、共有のメールボックスかチームにする(担当者が休みだと止まるため)
- 通知が迷惑メールに入らないかを、実際に自分で1件送って確認する
- 届かなかったときに気づけるよう、管理画面にも溜まる形にしておく
3つめが効きます。メール通知だけに頼ると、通知が止まったことに誰も気づけません。「メールが来なくても、後から一覧で確認できる」状態にしておくのが保険です。
フォームサービスからの通知は、送信元が自社ドメインではないため、受信側で弾かれやすいです。運用を始める前に、受信側でフィルタを作って「迷惑メールにしない」を明示しておくこと。件名を変えるとフィルタが効かなくなるので、件名を変えたらフィルタも直します。
2. どこまで聞くか(そして、聞かないか)
社外の人に入力してもらう項目は、少ないほど届きます。
- 必須は3つまでを目安にする(名前・連絡先・用件)
- 会社名、部署、電話番号は任意にする。必要なら返信のときに聞けます
- 「ご住所」「ご予算」を最初から必須にすると、そこで離脱します
問い合わせフォームの目的は、情報を集めることではなく会話を始めることです。足りない情報は、返信の中で聞けます。
3. 個人情報をどこに置くか
ここは決めずに進めると後で困ります。
- 回答データはどこに保存されるか(サービスの管理画面/自社のSharePoint/メールの本文)
- 誰が見られるか。フォームの管理者だけか、部署全員か
- いつ消すか。「用が済んだら」ではなく、期間を決める(1年、3年など)
- 利用目的を書いた一文をフォームに載せる(「いただいた情報はお問い合わせへの回答にのみ使います」など)
大掛かりなプライバシーポリシーが要るかどうかは事業の性質によりますが、最低限、上の一文とデータの置き場所は決めておくべきです。
4. 迷惑投稿への備え
社外に開いたフォームには、必ず自動投稿が来ます。
対策は段階的でよく、
- ハニーポット(人には見えない入力欄を置き、埋まっていたら弾く)だけで、かなり減ります
- それでも来るなら、CAPTCHA を足す(ただし入力の手間が増え、離脱も増えます)
- 業務上ありえない内容(日本語が1文字も無い、URLが5個以上)を受信側でフィルタする
いきなりCAPTCHAから入らないほうがいいです。まずハニーポットで様子を見る。それで足りることが多いです。
5. 送信後に何を見せるか
「送信されました」だけの画面はもったいないです。ここは唯一、確実に見てもらえる場所です。
入れておくとよいのは、
- いつまでに返信するか(「2営業日以内にご連絡します」)。これが無いと、翌日には催促が来ます
- 返信が来なかったときの別の連絡先(メールアドレス)
- 関連する読みものや資料へのリンク(待っている間に読んでもらえます)
「2営業日以内」と書くなら、守れる数字にしてください。土日に本業がある事情なら、「土日を挟む場合は翌週になります」と書いておくほうが、書かないより信用されます。
6. 返信のテンプレートを、先に作る
フォームができてから返信文を考えると、最初の1件で止まります。
先に3種類だけ用意します。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 受付の自動返信 | 「受け付けました」+いつ返信するか+別の連絡先 |
| 通常の返信 | 内容を確認したうえでの回答。ここは手で書く |
| お断り | 対応できない場合。断る文面を先に作っておくのが大事 |
3つめを用意しておかないと、断りにくい依頼を抱えたまま返信が止まります。断る文面があると、返信が速くなります。
まとめ
- 通知は共有のメールボックスへ。迷惑メール対策を運用開始前にやる。管理画面にも溜める
- 必須は3つまで。足りない情報は返信で聞けばいい
- 個人情報の置き場所・閲覧範囲・保存期間と、利用目的の一文を決める
- 迷惑投稿はハニーポットから。CAPTCHAはその次
- 送信後の画面に返信の期限と別の連絡先を書く。守れる数字にする
- 受付・通常・お断りの3つのテンプレを先に作る。断り文があると返信が速くなる
うちのサイトのお問い合わせフォームも、この6点を踏まえて作ってあります。実際にやってみて分かった細かいところ(通知の設定が既定では飛ばない、ラベルの書き方で項目名が変わる、など)もあるので、作る前に聞いてもらえれば同じ穴は避けられます。
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