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現場が新しい仕組みを嫌がるのは、たいてい正しい理由がある

「抵抗勢力」で片づけると何も進みません。反対の中身を分けると、8割は聞くべき話です。反対の種類ごとの対処と、味方の作り方。

読了 約4分 業務改善組織内製化

新しい仕組みを入れようとすると、現場から反対が出ます。

そして進める側は「抵抗勢力」「変化を嫌う人たち」と呼びがちです。この呼び方をした時点で、話は止まります。相手を説得の対象として見ている限り、情報は出てきません。

実際に聞いていくと、反対の中身は分かれます。そして8割は聞くべき話です。

反対の中身を4つに分ける

1.「今より手間が増える」(正しい)

いちばん多く、いちばん正しい反対です。

  • 今は紙に1行書くだけだったのが、ログインして5項目入力になる
  • 今は電話1本だったのが、フォームを探して入力になる
  • 全体では効率化されているが、その人の作業は増えている

これは事実なので、認めるところから始めます。そのうえで、

  • 入力を減らせないか(分かる情報は聞かない。選択肢にする)
  • その人にも返ってくるものを作る(入力したら、その人が見たかった一覧が出る)
  • 減らせないなら、「あなたの手間は増えます」と正直に言って、なぜ必要かを説明する

いちばんまずいのは、「楽になりますよ」と言ってしまうことです。楽にならない人に言うと、その一言で信用を失います。

2.「前も同じことを言われた」(正しい)

過去に導入されて、使われなくなったものがある。あるいは、意見を聞かれたのに反映されなかった。

これはこちらの過去の実績の問題なので、言葉では覆せません。

対処は、小さく作って早く見せることです。「3か月後にこうなります」ではなく、「来週これができます」を積む。内製化が続かない会社と、続く会社の違い に書いた「最初の1本を小さくする」は、この理由でもあります。

3.「自分の仕事が無くなる」(正しい心配)

口には出ませんが、これはあります。特に、その作業を長年やってきた人ほど。

ここで「大丈夫です」と言っても届きません。具体的に、その人が次に何をするのかを一緒に決める必要があります。そして、それは進める側だけでは決められません。上長を巻き込む話です。

この確認を飛ばしたまま進めると、表向きは協力しつつ、細かいところで止まります。

4.「本当に知らない例外がある」(いちばん貴重)

「それだと、A社の分が回らなくなる」「月末が土日のときはどうするんですか」

これは反対ではなく、仕様の提供です。むしろ、こういう指摘が出る現場は恵まれています。出ないまま作ると、本番で発覚します。

なので、こう聞きます。

「他にも、この作業で気をつけていることはありますか」

反対してくれた人が、いちばん詳しい人であることが多いです。

味方をどう作るか

全員を説得することはできません。順番があります。

1人、困っている人を見つける

反対する人ではなく、いちばん困っている人を探します。その人の困りごとから始めると、効果がすぐ出て、味方が1人できます。

その人の名前で語ってもらう

進める側が「効率化されます」と言うより、同じ立場の人が「楽になった」と言うほうが100倍効きます。

だから、最初の1本は「効果が体感できて、その人が人に話したくなるもの」を選びます。

反対した人に、最初に見せる

できたものを、最初に見せる相手は反対した人です。

  • 指摘してもらった例外が、ちゃんと考慮されているか確認してもらう
  • 直すべきところがあれば直す
  • 「言ったことが反映されている」という経験を作る

これをやると、次の話がまったく違ってきます。逆に、意見を聞いておいて反映しないと、二度と意見は出てきません。

「使ってみて」ではなく「見てもらえますか」

できたものを渡すときの言い方も効きます。「使ってみてください」は相手に負担を渡す言い方です。「おかしいところが無いか見てもらえますか」だと、確認する側に立ってもらえます。同じものを見せているのに、返ってくる反応が変わります。

逆に、聞かなくていい反対

8割は聞くべき、と書きました。残りの2割です。

  • 「今のやり方で困っていない」(他の人が困っている場合)
  • 「前例がない」(それだけを理由にしている場合)
  • 決裁も現場もしない人からの、一般論の心配

これらは、情報を含んでいません。とはいえ正面から否定しても意味がないので、

  • 困っている人の具体的な話を出す
  • 小さく試して、結果で示す

議論で勝とうとしないこと。動くものを1つ作って見せるほうが早いです。

導入したあと、しばらく残しておくもの

最後にひとつ。移行のときは、しばらく元のやり方も残しておくほうが定着します。

  • 紙も電子も、どちらでも受け付ける期間を設ける
  • 代理入力の経路を用意する(現場は紙、事務が入力)
  • 完全移行の期限を最初から決めない

「いつまでに完全移行」を先に決めると、その日に向けて反発が集まります。残しておくと、面倒になった人から自然に移ります。そして半年後に「もう紙で出している人はいませんね」となって、静かに終わります。

まとめ

  • 「抵抗勢力」と呼んだ時点で、情報が来なくなる
  • 反対は4種類。手間が増える/前も同じことがあった/自分の仕事が無くなる/知らない例外がある
  • 「楽になりますよ」を、楽にならない人に言わない
  • 「知らない例外」は反対ではなく仕様の提供。むしろ聞き出す
  • 味方は、いちばん困っている人から作る。同じ立場の人の言葉がいちばん効く
  • できたものは、反対した人に最初に見せる。「言ったことが反映された」経験を作る
  • 移行期は元のやり方も残す。完全移行の期限を先に決めない

このあたりは、技術より時間がかかるところです。作るのは1か月でも、定着は半年かかることがあります。そこも含めて一緒に見ることができます。

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