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ひとり情シスが最初に手放すべき仕事は、たぶんこれ

全部を巻き取っている状態から抜けるには、依頼の入口を1本にして、答えを溜めて、判断だけ残す。この順番でやると、外注の予算がなくても手は空きます。

読了 約4分 ひとり情シス業務改善内製化

ひとり情シス(あるいは総務との兼務)の方から相談を受けると、状況はだいたい同じです。

  • 依頼がメール・電話・立ち話・Teamsからバラバラに来る
  • 同じ質問に何度も答えている
  • 全部を自分がやっているので、何に時間を使ったか自分でも分からない
  • 手が空かないので、本来やるべき整備が進まない

そして「外注する予算はありません」。

この状態から抜けるのに、予算は要りません。順番が要ります。入口を1本にする → 答えを溜める → 判断だけ残す、の3段です。

第1段:依頼の入口を1本にする

いちばん効きます。そして、いちばん抵抗があります。

今は入口が5つくらいあるはずです。それを1つにします。

  • Microsoft Forms でも、Teams のチャネルでも、SharePoint リストでも構いません
  • 項目は3つまで(何に困っているか/いつまでに/連絡先。所属は自動で取れます)
  • フォーム以外で来た依頼は、その場で「ここから出してください」と返す

最後がいちばん大事で、そして続きません。立ち話で頼まれると、つい引き受けてしまう。でも、ここを緩めると入口は5つのままです。

説得の材料としては、こう言うと通りやすいです。

「どこまで進んでいるか、私からも見えるようにしたいので」

管理のためではなく、依頼した側が損をしない仕組みとして説明します。実際そうです。口頭の依頼は忘れられますが、記録された依頼は忘れられません。

緊急のときの抜け道は用意する

「システムが止まっている」ような本当の緊急に、フォームを埋めさせるのは無理です。緊急だけは電話でよい、と明示的に決めておく。抜け道を認めておくと、それ以外を守ってもらいやすくなります。

第2段:答えを溜める

入口が1本になると、同じ質問が何度も来ていることが見えるようになります。ここまでは体感でしたが、記録として見えます。

多い順に上から10個、答えを書き溜めます。

  • 1件1ページにする(「PC設定マニュアル」に全部入れない)
  • タイトルは、聞かれる言葉にする(「クライアント証明書導入手順」ではなく「社外から社内システムに入れない」)
  • 画面写真は最小限。手順は5ステップ以内に収める

置き場所は SharePoint でも Teams のタブでも、社内で見られるところなら何でもいいです。大事なのは、次に同じ質問が来たときにURLを返すことです。「そこに書いてあります」と言えるようになると、体感がかなり変わります。

10個書くのに、たぶん合計で5〜6時間かかります。これは投資として確実に回収できるほうです。

第3段:判断だけ残す

10個溜まったら、ここでようやく自動化の話になります。

来た依頼を種類で分けると、こう分かれるはずです。

種類どうするか
よくある質問自動で回答URLを返す(あるいは依頼者が自分で見つけられるようにする)
定型作業(アカウント作成、権限追加)手順を決めて、他の人に渡せる形にする
判断が要るもの(何を買うか、どう直すか)自分がやる

3つめだけが本来の仕事です。1つめと2つめは、仕組みか他の人に渡せます。

1つめは、Copilot Studio でエージェントを作るのが向いています。ただし第2段が終わっていることが条件です。答えが溜まっていない状態でボットを作っても、答えられるものがありません(社内問い合わせをCopilotに任せる前に に書いたとおりです)。

2つめは、手順書を1ページ書いて、総務や各部の誰かに渡す。「権限がないから渡せない」なら、渡せる範囲の権限を用意するところが仕事になります。

やってはいけない順番

逆から入ると失敗します。

  • いきなりAIチャットボットを作る → 元の答えが無いので何も答えられない
  • いきなり資産管理ツールを入れる → 入力する余裕がないので更新されず、半年で実態と乖離する
  • いきなり手順書を全部書く → 何が必要か分からないので、書いても読まれないものが増える

入口を1本にするのが先なのは、それをやらないと「何が多いのか」が分からないからです。分からないまま整備すると、必要ないところを整備することになります。

手が空いたら何をするか、を決めておく

最後にひとつ。これをやらないと、空いた時間はすぐ別の依頼で埋まります。

先に決めておいてください。

  • 権限とアカウントの棚卸し
  • バックアップが本当に戻せるかの確認
  • 退職者のアカウント処理のルール化
  • 共有フォルダの整理(ルール3つで止まる

「時間ができたらやろう」は永遠に来ません。空けた枠に、先に名前を付けておきます。

まとめ

  • 順番は 入口を1本にする → 答えを溜める → 判断だけ残す
  • 入口の統一は「管理のため」ではなく「依頼した側が損をしないため」と説明する
  • 緊急だけは抜け道を明示的に認める
  • 答えは1件1ページ、タイトルは聞かれる言葉で。まず多い順に10個
  • AIも管理ツールも、答えと記録が溜まってから
  • 空いた時間に何をするか、先に決めておく

予算がなくても進む部分がかなりあります。どこから手をつけるかを一緒に見るところからでも構いません。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

業務棚卸しシート

「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 15 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。