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停電や災害でシステムが止まったら、業務が動かない

立派な計画書を作る話ではありません。止まったときに何ができなくなるかを1枚に書いて、その中の1つか2つだけ手当てする。そこまでで、かなり違います。

読了 約5分 ひとり情シスセキュリティ組織
  • 停電や災害でシステムが止まったら、何が起きるか考えたことがない
  • BCPを作れと言われたが、何を書けばいいか分からない
  • 取引先から事業継続の体制を聞かれた
  • サーバーが事務所にあり、そこが被災したら終わりだと分かっている

立派な計画書を作る話ではありません。分厚いBCPは、作った瞬間から誰も読みません。

やるのは2つです。止まったときに何ができなくなるかを1枚に書く。そのうち、いちばん困る1つか2つだけ手当てする。それで十分に違います。

1枚に書くこと

表を1つ作ります。列は5つです。

業務使っているもの止まるといつまでに戻す必要があるか止まっている間どうするか
受注販売管理システム注文を受けられない半日FAXと電話で受けて、紙に記録
出荷在庫システム、プリンタ伝票が出せない半日手書きの納品書を使う
給与給与システム支給が遅れる数日前月と同額で仮払い
請求会計システム請求が遅れる数日翌月にまとめる
社内連絡Teams、メール連絡が取れない即時電話、個人の連絡先一覧

4列目と5列目が肝心です。

  • いつまでに戻す必要があるか(全部「すぐ」にすると、備えが青天井になります)
  • 止まっている間どうするか(ここが書けていれば、当面は動けます)

5列目は、多くの場合お金がかかりません。手書きの様式を用意しておく、連絡先の一覧を紙で持っておく。これだけで、止まった数時間を乗り切れます。

この表と、記入例・判断する人を決めるシートを資料室に置いてあります。埋めるところから始めてください。

「いつまでに」を全部「すぐ」にしない

半日止まっても実害が小さい業務は、けっこうあります。全部を最優先にすると、何から手をつけるか決められません。受注と、人の安否確認が最優先になる会社が多いです。そこから決めてください。

手当ての優先順位

1枚が書けたら、上から3つだけ手を打ちます。

1. データが失われないこと(最優先)

建物が使えなくなっても、データが残っていれば会社は再開できます。逆はできません。

  • バックアップが同じ建物の中だけにないか
  • クラウドに同期しているだけの場合、それはバックアップではありません(消したら消えます、暗号化されたら一緒にやられます)
  • 復旧を一度試したことがあるか

3番目が抜けがちです。やったことのない復旧は、本番でできません(バックアップは「クラウドだから大丈夫」でいいのか)。

2. 連絡が取れること

災害時にまず必要なのは、システムではなく人と連絡が取れることです。

  • 全員の個人の連絡先(会社支給の電話が使えない前提で)
  • 紙でも持っている(スマホが使えない、充電が切れる)
  • 安否確認の方法と、集約する人

紙で持つが大事です。連絡先がクラウドにしかないと、そこにアクセスできないときに詰みます。

3. 事務所が使えないときに、仕事ができること

コロナ以降、ここは多くの会社で進みました。すでにできているかを確認するだけかもしれません。

  • 社外から、必要なシステムにアクセスできるか
  • ノートPCが人数分あるか(デスクトップだけだと持ち出せません)
  • 家からアクセスするときの手順が、周知されているか

一度、実際に自宅から接続してもらってください。「できるはず」と「できた」は違います(在宅とオフィスが混ざって業務が止まる)。

サーバーが事務所にある場合

これが最大の弱点になります。ただし、すぐにクラウドへ移せるとは限りません。

段階を分けてください。

段階やること費用
今日バックアップを事務所の外に(外付けHDDを持ち帰る、クラウドバックアップ)ほぼゼロ〜少額
半年停電対策(UPS)、サーバー室の水濡れ・転倒の確認
数年クラウドへの移行、またはデータセンターへ

今日の行だけでも、被害の大きさがまったく変わります。移行は予算と時期の話なので、それを待たずに1行目をやってください。

取引先から聞かれたときのために

「事業継続の体制を教えてほしい」という照会が増えています。書ける材料を作っておくと、そのまま社内の整理にもなります。

答えるのは、この5つで足ります。

  • 主要な業務が止まったときの復旧目標時間
  • バックアップの方式と、復旧を試した日
  • 代替手段(止まっている間どうするか)
  • 連絡体制(誰が判断し、誰が連絡するか)
  • 見直しの頻度

やっていないことは「未対応」と書いてください。盛ると、あとで確認されたときに困ります。

判断する人を決めておく

計画に書き忘れられるのが、「誰が決めるか」です。

  • 事業を止める・再開するの判断
  • 取引先への連絡の判断
  • 費用が発生する対応(機材の緊急調達など)の判断
  • その人が連絡つかないときの、次の人

最後の1行を必ず書いてください。判断者が被災している可能性があります。

年に1回、5分だけ見直す

分厚い計画は更新されませんが、1枚なら見直せます。

  • 使っているシステムが変わっていないか
  • 連絡先の一覧が古くなっていないか
  • 人が入れ替わっていないか

防災訓練の日にセットにすると、忘れません。

まとめ

  • 分厚い計画書は要らない。1枚の表から
  • 列は業務/使っているもの/止まると/いつまでに/その間どうするか
  • 「いつまでに」を全部すぐにしない
  • その間どうするかは、たいてい費用ゼロで書ける
  • 最優先はデータが失われないこと。建物より先
  • バックアップが同じ建物の中だけにないか確認する
  • 復旧を一度試す
  • 次に連絡が取れること。連絡先は紙でも持つ
  • 事務所が使えないときに働けるか、実際に自宅から試す
  • サーバーが自社にあるなら、今日できるのはバックアップの持ち出し
  • 取引先向けに答える5項目を用意する。未対応は未対応と書く
  • 判断する人と、その次の人を書く
  • 年1回、防災訓練の日に5分見直す

まず、業務を5つ書き出して「止まると何ができなくなるか」を埋めてみてください。それだけで、手をつける場所が見えます。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

業務が止まったときの1枚シート

止まると何ができなくなるか、いつまでに戻す必要があるか、止まっている間どうするかを1枚に書くシートです。「即時・半日」の行と、代替手段が空欄の行に自動で色が付きます。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 12 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。