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Dataverseを使うべきか、SharePointリストで足りるか

追加費用が要るかどうかの分かれ目なので、判断は慎重にしたいところです。件数・権限・監査・アプリの数で決められます。迷ったらリストから始めて構いません。

読了 約5分 Power Appsデータ設計ツール選定
  • Power Apps でアプリを作りたいが、データをどこに置くか決まらない
  • 「Dataverseのほうがちゃんとしている」と言われたが、ライセンスが要ると聞いた
  • SharePointリストで作ったアプリが、件数が増えて動きが怪しい
  • あとから移すのが大変らしいので、最初に決めたい

結論から書くと、迷っているうちはSharePointリストで構いません。ただし、あとで確実に困る条件がいくつかあるので、そこに当てはまるかだけ先に確認してください。

費用の違いだけ、先に押さえる

ここが判断のいちばん大きな要素です。

SharePointリストDataverse
追加費用なし(Microsoft 365 に含まれる)必要(Power Apps のライセンスが要る)
課金の形ユーザーごと、またはアプリごとの月額

Dataverse を使った時点で、使う人全員分のライセンスが要ります。10人が使うアプリなら10人分です。ここを知らずに作り始めて、公開の直前に気づくことがあります。

先に人数を数えて、月額いくらになるかを出してください。それが「払う価値があるか」の判断材料になります。

契約中のプランを確認してから

Microsoft 365 のプランによっては、Power Apps の一部の機能が含まれています。ただし含まれる範囲では Dataverse は使えないのが通常です。何が含まれていて何が含まれていないかは、契約内容を見ないと分かりません。販売店か Microsoft に確認してください(追加費用なしでどこまでできるのか)。

Dataverse にすべき条件

次のどれかに当てはまるなら、費用を払う価値があります。

1. 件数が多い

SharePointリストは、1つのビューで扱える件数に制限があります(既定で5,000件)。それを超えると、一覧の表示や絞り込みで引っかかり始めます。列にインデックスを付けたり、絞り込み方を工夫したりで回避はできますが、設計に気を使い続けることになります。

数万件を超えることが見えているなら、Dataverse のほうが素直です(作ったアプリが遅い・件数が増えたら結果がおかしい)。

2. 権限を細かく分けたい

「自分が入力したものだけ見られる」「上長は部署の分だけ見られる」といった制御を、役割で管理したい場合。

SharePointでもアイテム単位の権限は設定できますが、件数が増えると管理も動作も重くなります。Dataverse は役割(セキュリティロール)で設計できるので、こちらのほうが向きます。

3. 誰がいつ変更したかの記録が要る

金額や承認の記録など、あとから「誰が変えたか」を追う必要がある業務。Dataverse には監査の仕組みがあります。

SharePointのバージョン履歴でもある程度は追えますが、業務の記録として使う前提の作りではありません。

4. 複数のアプリから同じデータを使う

顧客データを、営業用アプリと問い合わせ管理アプリの両方から使う、といった場合。データを中心に置いて、アプリを複数ぶら下げる形はDataverseが得意です。

5. 表と表の関係が複雑

「1件の案件に、複数の見積があって、それぞれに明細がある」のような構造。SharePointリストでも参照列で組めますが、整合性を保つ仕組みが弱いので、データがずれ始めます。

SharePointリストで足りる条件

逆に、次のようなものはリストで十分です。

  • 件数が数千件までで、増え方も緩やか
  • 見る人と入れる人がほぼ全員同じ範囲でよい
  • 1つの業務、1つのアプリで完結する
  • 申請・記録・一覧といった単純な形

申請系のアプリの多くはここに入ります。「まずリストで作って、困ったら考える」で問題ありません。

「あとで移すのが大変」を怖がりすぎない

確かに移行は手間ですが、使われるかどうか分からないアプリのために先にライセンスを買うほうがもったいないです。作ってみて、使われて、件数が増えて困ってから移す。その順番で構いません。移すときには、少なくとも「何が必要か」が分かっている状態になっています。

どちらにしても、最初にやっておくこと

将来移すことを考えると、次の2つを最初からやっておくと後が楽です。

1. 主キーになる列を、自分で持つ

案件番号 社員番号 のような、自分で採番した一意の値を列として持ってください。システムが内部で付けるIDに頼ると、移したときに関係が切れます。

2. 表記ゆれを入れない

選択肢は自由入力にせず、選択列にする。日付は日付型で持つ。この2つができていれば、移行はデータの移し替えだけで済みます。逆にここが崩れていると、移すときにデータの掃除から始めることになります。

決め方の手順

紙に書いて判断してください。5分で決まります。

  1. 使う人は何人か → Dataverse なら月額いくらになるかを出す
  2. 3年後の件数は何件か → 数万を超えるか
  3. 「自分の分だけ見せる」が要るか
  4. 誰がいつ変えたかの記録が要るか
  5. 使うアプリは1つか、複数か

2〜5がすべて「いいえ」なら、SharePointリストです。1つでも「はい」があるなら、1で出した金額と天秤にかけてください。

相談されたときに、私たちが答えていること

「とりあえずDataverseにしましょう」とは言いません。費用が発生する判断を、こちらの都合で勧めるべきではないと考えているからです。

最初の1本目のアプリなら、ほぼリストを勧めます。理由は、作ったアプリが使われるかどうかは、作ってみるまで分からないからです。使われなかったアプリのために払ったライセンス費は、次の話を通りにくくします(最初の1本に何を作ればいいか分からない)。

まとめ

  • いちばん大きな違いは費用。Dataverse は使う人全員分のライセンスが要る
  • 先に人数×月額を出す。判断はそれからでいい
  • Dataverse が要るのは、件数が多い/権限が細かい/変更履歴が要る/複数アプリ/構造が複雑のどれか
  • それ以外はSharePointリストで足りる。申請系の多くはここ
  • 移行は手間だが、使われるか分からないアプリに先に払うほうがもったいない
  • どちらでも、自前の主キー表記ゆれを入れないことだけ最初からやる
  • 1本目なら、まずリスト

決められないなら、リストで作ってください。作ったあとのほうが、判断の材料が揃います。

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