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動いているアプリを直すのが怖い

本番で直接いじっているから怖いのであって、これは仕組みで解決できます。環境を3つ作る話ではありません。中小企業の規模でやれる範囲の分け方を書きます。

読了 約5分 Power Apps内製化トラブル対応
  • 使われているアプリを直したいが、壊すのが怖くて触れない
  • 直したら現場から「動かない」と連絡が来て、慌てて戻した
  • 「テストしてから」と言われるが、テストする場所がない
  • 直す前のバージョンに戻せるのか、自分でも自信がない

怖いのは当然です。本番で直接いじっているからです。逆に言えば、直す場所と使われる場所を分ければ、怖さはほぼ消えます。

環境を3つ用意して、という教科書どおりの話はしません。社員数十人の会社で、今日からやれる範囲で書きます。

まず、戻せる状態を作る(今日やること)

これだけでも、怖さは半分になります。

Power Apps の場合

Power Apps はバージョンを自動で保存しています。

アプリ → 対象のアプリの 詳細バージョン で一覧が見られ、過去のバージョンに戻せます(復元)。

一度、練習で戻してみてください。やったことがある人と、無い人では、事故のときの動きが全然違います。5分で試せます。

Power Automate の場合

フローも同様に、編集前の状態を保存できます。ただしアプリほど分かりやすくないので、大きく直す前に「名前を付けて保存」でコピーを取る習慣にしてください。

コピー名は 売上通知フロー_20260829_変更前 のように、日付を入れておきます。「コピー」「コピーのコピー」になると、どれが何か分からなくなります。

戻せることを、現場にも伝えておく

「壊れたら戻せます」と言えるかどうかで、現場の受け止め方が変わります。直す前に「今日の午後に直します。問題があればすぐ戻します」と一言流しておくと、トラブルが起きても騒ぎになりません。

直す場所を分ける(次にやること)

戻せるようになったら、次は「試す場所」です。

いちばん軽い方法:コピーで直す

  1. 本番のアプリを 名前を付けて保存 でコピー◯◯アプリ_作業中
  2. コピーのほうを直す
  3. 自分と、現場の1人だけに共有して試してもらう
  4. 問題なければ、本番のアプリに同じ変更を入れる

手で2回直すことになりますが、アプリが数本の規模なら、これがいちばん確実で速いです。環境やソリューションの仕組みを覚えるコストがかかりません。

注意:データは分かれません

コピーしたアプリも、同じデータを見ています。画面の見た目やボタンの動きを試すのは安全ですが、保存や削除を試すと本番のデータが変わります。

対策は2つです。

  • テスト用のデータを、分かるように入れる【テスト】 で始まる名前にして、あとで消す)
  • SharePointリストなら、テスト用のリストをコピーで作って、そちらを見るようにする

削除の動作を試すときは、必ず後者にしてください。

環境を分けるのは、どこから必要か

Power Platform には「環境」という単位があり、開発用と本番用を分けられます。ただし、これを入れると運用の手数が増えます。

分ける価値が出るのは、次のどれかに当てはまってからです。

  • アプリとフローが10本を超えた
  • 作る人が複数いて、同時に別のものを直している
  • 止まると業務が本当に止まるアプリがある(受注、出荷など)
  • 外部の会社にも開発を頼んでいる

数本を1人で作っている段階では、環境を分けないほうが速いです。分けた瞬間に、移す作業(ソリューションのエクスポートとインポート、接続のつなぎ直し)が毎回発生します。

ただし「既定の環境」に本番アプリを置き続けるのは避けたい

既定の環境(Default)は全員がアクセスできるので、誰かが作ったテスト用のものと混ざります。大事なアプリが3本を超えたら、専用の環境を1つ作って、そこに移すのは早めにやる価値があります。開発用まで作る必要はありません。

直す前に、必ず1つやること

今動いている状態を、記録しておいてください。

  • 主要な画面のスクリーンショット(3〜5枚)
  • 「この操作をしたら、こうなる」を3行だけメモ

これが無いと、直したあとに「前はどうだったか」が分からなくなります。現場から「前はできたのに」と言われたときに、確認する材料がありません。

5分で済みます。直す前にやってください。あとからは取れません。

現場への出し方

いきなり全員に出さないでください。順番はこうです。

  1. 自分で一通り触る(よく使う操作を5つ)
  2. 現場の1人に触ってもらう(いちばんよく使っている人)
  3. その人がOKなら、全員に出す
  4. 出した日を記録して、その週は問い合わせに反応できるようにしておく

2番の人を決めておくのが効きます。毎回同じ人に頼めると、その人が「この変更は現場が困る」と先に言ってくれるようになります(現場が新しいやり方を嫌がる)。

金曜の夕方に直さない

これは経験則ですが、確実です。

問題が出るのは、直した直後ではなく、翌営業日の朝です。現場が実際に使い始めたときに出ます。金曜の夕方に直すと、月曜の朝に問い合わせが来て、その日の予定が全部飛びます。

火曜か水曜の午前に直してください。その日のうちに反応が返ってくるので、対応する時間があります。

変更の記録を残す

1行で足ります。台帳の1シートに書き足していくだけです。

2026-08-29 / 経費申請アプリ / 承認者の選択肢に「部長代理」を追加 / 奥田

これがあると、半年後に「いつからこうなった?」を追えます。特に、自分以外の人が引き継ぐときに効きます引き継ぎ資料が役に立たないのは、書く時期が遅いから)。

自動化ツールの一覧を資料室に置いてあるので、その中の変更履歴のシートを使ってもらっても構いません。

まとめ

  • 怖いのは本番を直接いじっているから。分ければ消える
  • 今日やること:バージョンから戻す練習を1回する
  • フローは大きく直す前に日付入りでコピーを取る
  • 試す場所は、アプリのコピーで足りる。環境を分けるのは後
  • ただしデータは分かれない。削除を試すならテスト用のリストを作る
  • 環境を分けるのは、10本超・複数人・止まると困る・外注ありのどれかから
  • 大事なアプリが3本超えたら、既定の環境から出す
  • 直す前に今の状態のスクリーンショットと3行のメモ
  • 出すのは自分 → 現場の1人 → 全員の順
  • 金曜の夕方に直さない。火曜か水曜の午前に
  • 変更を1行で記録する

まず、戻す練習からやってください。それができれば、あとは思ったより気楽に直せます。

この記事で使うシートを配っています

XLSX

自動化ツール一覧(管理台帳)

社内で作った自動化フロー・アプリ・マクロ・RPAを1枚に並べる台帳です。止まると困る度と引き継ぎにくさから、危ない行に自動で色が付きます。

ダウンロード(無料・登録不要)

Excel(.xlsx) / 16 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。