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顧客と案件の情報が、営業それぞれのExcelにある

担当が辞めると取引先との経緯が消えます。ただ、SFAを入れても入力されなければ同じです。入力を増やさずに情報が集まる形から始める話です。

読了 約5分 情報整理データ設計業務改善
  • 顧客リストが、営業一人ひとりのExcelにある
  • 担当が辞めたとき、その取引先との経緯が誰にも分からなくなった
  • 「あの会社、今どうなってる?」に答えられない
  • SFAやCRMを入れようとしたが、入力されずに止まった

情報が散らばるのは、営業がだらしないからではありません。入力しても本人に得がないからです。ここを変えないと、どんな仕組みを入れても同じ結果になります。

何のために集めるのかを、先に決める

「顧客管理をしたい」だけでは、何を入れるべきかが決まりません。目的によって、必要なものが変わります。

目的集めるべきもの入力の重さ
担当が辞めても引き継げる会社・担当者・過去の取引・直近のやりとり軽い
案件の進み具合を把握する案件ごとの段階・金額・確度・次の行動
予測を立てる上に加えて、時期・確度の基準重い

まず1行目だけでいいです。多くの会社の困りごとは「引き継げない」なので、それが解ければ十分です。2行目3行目は、営業の人数が増えてから考えても遅くありません。

いきなり案件の確度を入れさせない

「受注確度80%」のような数字は、入れる側にとって面倒なうえ、根拠が人によって違うので集計しても使えません。最初は入れさせないでください。必要になってから、基準を決めて足します。

入力を増やさずに集める

これが実務のかなめです。営業に新しい入力作業を増やすと、必ず止まります。

1. すでに発生しているものを集める

  • メール … 共有のメールボックスで受ければ、やりとりは自動で残ります
  • 見積書 … 発行のときに1件登録される形にすれば、案件の記録が自動で増えます
  • 請求データ … 会計や販売管理にすでにあります

「取引の事実」は、すでにどこかに記録されています。それを集めるほうが、営業に入力させるより確実です。

2. 入力するのは1つだけにする

どうしても人が入れるものを1つに絞るなら、「次にいつ、何をするか」です。

サクラ商事 / 田中様 / 9月5日に見積の返事をもらう

これだけなら30秒で入ります。そして、入れた本人がいちばん助かります(忘れないため)。本人に得があるものは続きます。

3. 入力の場所を、いつも見ている場所にする

別のシステムを開かせないでください。Teams のタブか、Outlook から開ける場所にあるかどうかで、続くかどうかが決まります。

最小構成は、3つの表です

SFAを買う前に、この形で足りるかを見てください。SharePointリストでも作れます。

表1:会社

会社コード / 会社名 / 業種 / 住所 / 担当営業 / 取引状況(見込み・取引中・休眠)

表2:担当者

担当者ID / 会社コード / 氏名 / 部署 / 役職 / 連絡先 / 退職フラグ

表3:やりとり

日付 / 会社コード / 担当者ID / 種別(訪問・電話・メール) / 内容(3行) / 次の予定

会社コードで結びます。会社名で結ぶと、表記ゆれで結べなくなります(社員名簿や取引先一覧が部署ごとにある)。

表3の「内容」は3行までと決めてください。長く書かせると書かれなくなります。3行なら書きます。

名刺をどうするか

顧客情報の入り口は名刺です。ここが個人の引き出しにあると、他が整いません。

現実的なのは次です。

  1. もらったらその場でスマホで撮る(名刺管理アプリでも、Formsのアップロードでも)
  2. 会社名・氏名・部署・メールだけを、表2に登録する
  3. 現物は本人が持っていて構いません

全部の項目を手入力させると続きません。4項目だけにしてください。

退職・異動の情報が、いちばん古くなります

相手先の担当者は変わります。「宛先不明で返ってきた」「もう在籍していない」と分かったら、その場で退職フラグを立てる運用にしてください。消さずに残すのは、過去のやりとりが誰との会話だったか分からなくなるからです。

SFA・CRMを買うべきか

次のどれかに当てはまるなら、買う価値があります。

  • 営業が5人以上いて、案件が並行して数十件動いている
  • 進み具合を上長が把握する必要がある
  • メール・電話・訪問の記録を時系列で見たい
  • 見積から受注までの流れをシステムでつなぎたい

逆に、営業が2〜3人で、引き継ぎのために記録を残したいだけなら、SharePointリストで足ります。月額を払う理由がありません。

買う場合の確認点は、電子契約と同じです。データをCSVで取り出せるか。ここが担保されていないと、あとで動けなくなります。

定着させるためにやること

導入して1か月で止まる会社と、続く会社の違いは、はっきりしています。

続く会社がやっていること

  1. 会議の資料を、その画面に置き換えた(別に資料を作るのをやめた)
  2. 上長が、その画面を見て質問する(口頭の報告を求めなくなった)
  3. 入力していない人を責めるのではなく、入力する意味を作った

1番が決定的です。別の場所で報告が完結している限り、システムには入りません。「月曜の朝会は、この画面を開いて話す」と決めてください(毎月の定例報告資料に3日かかっている、を削る)。

やってはいけないこと

  • 入力率を出して個人名で比べる(隠されるようになります)
  • 項目を増やす(使っていない項目は消してください
  • 「まず全件を入力してから運用開始」(終わりません。動いている案件だけから始める)

過去のデータをどうするか

全部を移そうとしないでください。

  • 直近1〜2年で取引のある会社だけを移す
  • それ以外は、元のExcelを参照用として残す

移す件数が少ないほど、始まるのが早くなります。休眠先は、動き出したときに登録すれば足ります。

まとめ

  • 散らばるのは、入力しても本人に得がないから
  • 目的を決める。多くの場合は「引き継げること」で十分
  • 確度のような主観の数字を最初から入れさせない
  • 入力を増やさず、すでに発生しているもの(メール・見積・請求)を集める
  • 人が入れるのは「次にいつ、何をするか」の1つだけ
  • 入力の場所は、Teams や Outlook から開けるところに
  • 最小構成は会社・担当者・やりとりの3表。コードで結ぶ
  • 名刺は4項目だけ登録。現物は本人が持っていてよい
  • 営業2〜3人ならSharePointリストで足りる
  • 続く条件は、会議をその画面に置き換えること
  • 過去データは直近1〜2年だけ移す

まず、いま動いている案件を10件だけ、1つの表に書き出してみてください。それで足りるかどうかが分かります。

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