「メールで依頼したんですが、対応されていなくて」「すみません、埋もれていました」
このやりとりを月に何度もしているなら、対処はメールの整理ではありません。
フォルダ分け、色分け、フラグ、未読管理。どれもやったことがあると思います。そして、どれも半年もちません。理由ははっきりしていて、受信トレイは、依頼を管理するための場所ではないからです。
- 依頼と、連絡と、通知と、広告が、同じ場所に同じ形で届く
- 届いた順にしか並ばない(重要度順にも、期限順にもならない)
- 「対応中」という状態を持てない(未読か既読しかない)
- 誰が持っているのかが分からない
つまり、依頼を管理するのに必要な要素が、ほとんど揃っていません。それでも管理できてしまう人がいるのは、その人が頭の中で補っているからで、その人がいなくなると崩れます。
やることは1つ:依頼をメールの外に出す
仕分けを工夫するのをやめて、依頼だけをメールの外に出します。
出し先は、どこでも構いません。SharePointリスト、Planner、Teamsのタブに貼ったリスト。すでに社内で使えるものの中から選ぶのが大事です(新しいツールを増やすと、それ自体が管理対象になります)。
持たせる項目は5つで足ります。
| 項目 | 補足 |
|---|---|
| 何を頼まれたか | 1行。詳細は元のメールのリンクを貼る |
| 依頼者 | |
| 期限 | 無いなら「なし」と入れる。空欄にしない |
| 状態 | 未着手 / 対応中 / 相手待ち / 完了 |
| 担当 | 1人だけ。「チーム」にしない |
「相手待ち」という状態を用意するのがコツです。これが無いと、自分が動けないものが「対応中」に溜まり続けて、リストを見るのが嫌になります。
入口を1本にできるなら、そちらが本筋
ここまでは「メールで来てしまったものをどうするか」の話です。
そもそもの入口を変えられるなら、そのほうが根本的です。フォームなり専用のチャネルなりで受けて、最初からリストに入る形にする。この話は ひとり情シスが最初に手放すべき仕事 に書きました。
ただ、現実には全部は変えられません。社外からの依頼、上司からの依頼、急ぎの依頼は、メールや口頭で来ます。だから両方要ります。入口を絞る努力と、こぼれたものを拾う仕組みの両方です。
転記を自動にする
「メールが来るたびに手でリストに書き写す」のは続きません。ここは自動化できます。
Power Automate の標準コネクタで組めます(追加費用は不要です)。
- Outlook で特定のフォルダに移したメールを拾って、リストに1行追加する
- あるいは、件名に
【依頼】が付いたメールを拾う - リンクを本文に残しておいて、元のメールに戻れるようにする
「フォルダに移す」を引き金にするのがいちばん実用的です。全部のメールを自動でリスト化すると、リストがゴミだらけになります。人が「これは依頼だ」と判断してフォルダに放り込む——その1動作だけ残して、あとは自動にします。
何を依頼と見なすかは、機械には決められません。件名のルールを相手に守らせるのも、社外相手だと無理があります。判断は人、転記は機械。この線引きは、他の自動化と同じです(Excelの転記作業を自動化する前に)。
1日1回、決まった時間に見る
仕組みを作っても、見なければ同じです。
- 朝いちばんに5分、リストを見る
- 期限が近いもの・相手待ちのまま3日経っているものを拾う
- 相手待ちのものは、そこで催促する
「気づいたときに見る」は、忙しい日に見なくなります。時間を決めて、カレンダーに入れておくのが確実です。
そして、リストに載っていない依頼は対応しない、と決めます。厳しく聞こえますが、これを決めないとリストは信用されず、結局メールを見ることになります。口頭で頼まれたら「リストに入れておきますね」と言って、その場で入れる。これで回ります。
まとめ
- 受信トレイは依頼を管理する場所ではない。仕分けの工夫では解決しない
- 依頼だけを外に出す。項目は内容・依頼者・期限・状態・担当の5つ
- 「相手待ち」の状態を用意する。これが無いとリストが嫌になる
- 転記は自動化できる。ただし「これは依頼だ」の判断は人が残す(フォルダに移す動作を引き金にする)
- 朝5分、決まった時間に見る。リストに無い依頼は受けない、と決める
入口の設計からまとめて見ることもできます。今どこから依頼が来ているかを書き出すところから始めると、話が早いです。
この記事で使うシートを配っています
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「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。
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