毎月、定例会や役員会のための資料を作っている。数字を集めて、グラフにして、体裁を整えて、コメントを付ける。気づくと月の3日が消えている。
この作業は、分解すると4工程あります。
- 集める(各部署・各システムから数字を取る)
- 貼る(1枚にまとめる、グラフにする)
- 整える(体裁、書式、前月との差分の色付け)
- 読み解いてコメントを書く
このうち、1〜3は仕組みに任せられます。4だけが人の仕事です。そして今、1〜3に時間の9割が使われているのが実情だと思います。
工程1:集めるところを減らす
いちばん時間を食っているのが、たいていここです。
- 各部署にメールで依頼する
- 期日までに来ない部署を催促する
- 様式が違うものを直す
- 数字がおかしいものを問い合わせる
やることは2つです。
様式を1つにして、ひな形を配る。各部が自由に作った表を集めると、毎回直すことになります。ひな形を配って、それに入れてもらう。列を足したくなったら相談してもらう。
催促を自動にする。期日の前日に未提出の部署だけに通知する。これは Power Automate の標準コネクタで組める範囲で、追加費用は要りません。未提出の部署にだけ送るのが大事で、全員に一斉送信すると無視されるようになります(日報が集まらない、集めても使われない と同じ話です)。
システムから取る数字は、CSVで出せるかを確認してください。画面をコピーして貼っているなら、CSV出力があるかもしれません。意外とあります(RPAを入れて止まる会社の共通点)。
工程2:貼るのをやめる
集めた数字を手で貼っているなら、そこは自動化の効果が確実に出るところです。
前提として、集めるデータが1行1件の形になっている必要があります。人が読むための表(結合セル、2段見出し、小計行)のままだと、自動化が壊れやすくなります。この整理は Excelの転記作業を自動化する前に に書いたとおりです。
整った状態になっていれば、あとは素直です。
- 集まったデータを1枚のシートに追記する
- グラフは、そのシートを参照する形で先に作っておく(毎月作り直さない)
- ピボットテーブルの更新だけで、見た目が更新される状態にする
「毎月作る」から「毎月データが増えるだけ」に変えるのが要点です。作るものが無くなれば、作る時間も無くなります。
工程3:体裁を整えるのをやめる
ここは自動化する前に、そもそも必要かを疑ってください。
- 罫線の太さ、フォントの統一、色の塗り分け
- 前月比の矢印(↑↓)を手で入れている
- ページ番号、日付、版数を手で直している
これらのうち、読み手が判断に使っているものはどれですか。聞いてみると「前月比の色」だけ、ということがよくあります。だとすれば、他は条件付き書式とテンプレートで固定してしまえます。
そして、いちばん大きい問いがあります。その資料、印刷して配っていますか。画面で見るなら、体裁にかける時間は大幅に減らせます。
工程4:ここだけ残す
コメントを書く工程は、自動化できません。というより、ここが唯一の付加価値です。
- なぜこの数字になったのか
- 想定と違ったのはどこか
- 次に何をするか
生成AIに下書きを書かせることはできますが、数字の背景を知っているのは人だけです。AIに任せると、数字を言い換えただけの文章が出てきます。「売上は前月比5%減となりました」——これは資料を見れば分かることで、コメントとしては何の情報もありません。
使うなら、書いた文章を短くする・分かりやすくする方向です(Copilot を入れたのに使われない、を防ぐ最初の30日 の「書き直させる」の使い方)。
資料そのものを減らす、という選択肢
最後に、いちばん効く可能性がある話をします。
その資料のページは、全部読まれていますか。
定例資料は、足された歴史はあっても減らされた歴史がないことが多いです。数年前に誰かが「これも見たい」と言った表が、その人が異動したあとも毎月作られている。
各ページについて、こう聞いてみてください。
- このページを見て、誰が、何を決めていますか
- 過去1年で、このページが議論の対象になったことはありますか
決めている人がいないページは、3か月試しに外してみる。戻せと言われたら戻す。私の見た範囲では、戻ってきたことはほとんどありません。
自動化するより、作らないほうが速いです。
まとめ
- 定例資料づくりは4工程。集める・貼る・整える・コメントを書く
- 集める:様式を1つにしてひな形を配る。催促は未提出者にだけ自動で
- 貼る:「毎月作る」から「毎月データが増えるだけ」に変える
- 整える:読み手が判断に使っている書式だけ残す。印刷しないなら大幅に減らせる
- コメント:ここだけ人の仕事。AIは書かせるのではなく、書いたものを短くするのに使う
- そしてそのページ、そもそも要りますか。決めている人がいないページは3か月外してみる
どこに時間が溶けているかを数えるところからでも構いません。資料室の業務棚卸しシートに、この4工程を分けて書き出してみると、たいてい予想と違う結果が出ます。
この記事で使うシートを配っています
業務棚卸しシート
「どの業務から手をつけるか」を決めるためのシートです。作業を書き出して時間・回数・重要度・判断の有無を埋めると、優先度が自動で並びます。実際の打ち合わせで使っているものをそのまま置いています。
ダウンロード(無料・登録不要)読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ
OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。
「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。