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RPAを入れて止まる会社の共通点

ロボットが増えるほど、直せる人だけが忙しくなる。画面操作の自動化は効きますが、放っておくと必ず壊れます。壊れる前提でどう設計するか、そしてRPAを使わずに済ませる判断について。

読了 約4分 RPAPower Automate業務改善

RPA——画面を人の代わりに操作して自動化する仕組みは、はまると強いです。既存システムに手を入れずに済むので、稟議も通りやすい。

そのぶん、数年経って止まっている現場も多いです。止まり方には共通点があります。

共通点1:壊れる前提になっていない

RPAは、画面の見た目に依存します。だから、こういうときに止まります。

  • 業務システムがバージョンアップして、ボタンの位置が変わった
  • ブラウザが自動更新された
  • 画面に「お知らせ」のポップアップが1つ増えた
  • 月末だけ表示される確認ダイアログがあった

これは不具合ではなく、仕様どおりの挙動です。RPAは画面を見ているので、画面が変われば止まります。

なので、導入時に決めるべきはこれです。

  • 止まったとき、誰に通知が届くか(管理者ではなく、その業務の担当者本人に)
  • 止まっているあいだ、手作業に戻せるか。その手順が1ページあるか
  • 月に何回まで止まったら、作り直しを検討するか

3つめは特に効きます。「たまに止まるので毎回手で直している」状態が1年続くと、自動化する前より総工数が増えていることがあります。基準を決めておかないと、その判断は誰もしません。

止まったことに気づけているか

いちばん怖いのは、止まったことに誰も気づかないパターンです。「動いている前提」で下流の作業が進み、数日後に数字が合わないところで発覚する。成功したときにも記録を残す(1日1行でいい)だけで、これはかなり防げます。

共通点2:作った人しか直せない

RPAの開発ツールは「誰でも作れる」と紹介されますが、誰でも直せるとは限りません。

止まる現場の共通点は、

  • 変数名が 変数1 変数2 のまま
  • なぜその待ち時間を入れたのかが書かれていない
  • エラー時の分岐が無い(あるいは、握りつぶしている)
  • 同じ処理が複数のロボットにコピーで散らばっている

これを防ぐのは、技術ではなくルールです。

  • 1ステップ1行のコメントを残す(何をしているかではなく、なぜそうしたか)
  • 変数は日本語にする(対象年月 未処理件数
  • 待ち時間を固定秒で置かない。「この要素が出るまで待つ」で書く(固定秒は、遅い日に必ず失敗します)
  • ロボットの一覧を1枚作る(名前・何をするか・作った人・今の担当・止まると困る度)

最後の一覧は、内製化が続かない会社と、続く会社の違い にも書きましたが、2年目に効きます。

共通点3:RPAでやらなくていいものをRPAでやっている

これがいちばん大きいかもしれません。

RPAは最後の手段です。他に手がないから画面を操作しているのであって、他に手があるならそちらが確実です。

判断の順番はこうです。

  1. その作業自体をやめられないか(誰も見ていない資料を作っていないか)
  2. 元のシステムに機能はないか(CSV出力、スケジュール実行、通知設定。意外と付いています)
  3. ファイルやAPIでやりとりできないか(CSVを1枚挟めば、画面操作は不要になります)
  4. それでも駄目なら、RPA

現場で見ていて多いのは、2番を確認せずに3番を飛ばしてRPAにしているケースです。「そのシステム、CSV出せますか」と聞いたら出せた、ということが普通にあります。

画面操作は、動いているあいだは完璧に見えて、壊れたときのコストが高いという特性があります。他の方法があるなら、そちらのほうが長く持ちます。

それでもRPAが向いている場面

否定ばかりでは片手落ちなので、向いている場面も書きます。

  • CSVもAPIも出せない古いシステムが相手(これが本命の用途です)
  • 複数のシステムをまたいで、人が転記しているだけの作業
  • 期間限定の作業(移行期間だけ、繁忙期だけ)。壊れる前に役目が終わる
  • 業務を変えられない事情がある(相手先の指定様式など)

このうち3つめは見落とされがちです。「3か月だけ動けばいい」なら、雑に作ってよいんです。長く使う前提で丁寧に作ると、割に合いません。

費用の話を少しだけ

Windows に付いてくる Power Automate for desktop は、自分のPCで、自分が見ている前で動かすぶんには追加費用なしで試せます。人がいないところで自動実行するところから有料です(Power Automate、追加費用なしでどこまでできるか)。

なので順番としては、

  1. まず手元で動かして、本当に効果があるか確かめる
  2. 効くと分かってから、無人実行の予算を取りにいく

先に予算を取ってから効果を確かめると、効果が薄かったときに引き返せなくなります。

まとめ

  • RPAは壊れる前提で設計する。通知先・手作業に戻す手順・作り直しの基準を先に決める
  • 成功したときも記録を残す。止まったことに気づけないのがいちばん怖い
  • 変数は日本語、待ちは固定秒にしない、ロボット一覧を1枚作る
  • 使う前に、やめられないか/元のシステムの機能/CSVやAPIの3つを潰す
  • 向いているのはCSVもAPIも出せない古いシステム期間限定の作業
  • まず手元で無料の範囲で試して、効果を確かめてから予算を取る

「これRPAでやるべきか」の切り分けからでも構いません。元のシステムの仕様が分かれば、その場でだいたい判断できます。

この記事で使うシートを配っています

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自動化ツール一覧(管理台帳)

社内で作った自動化フロー・アプリ・マクロ・RPAを1枚に並べる台帳です。止まると困る度と引き継ぎにくさから、危ない行に自動で色が付きます。

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Excel(.xlsx) / 16 KB ※社内での利用・改変・配布は自由/転載・再配布・販売は不可

読んだうえで「うちの場合はどうか」を話したい方へ

OKD SOFT は、生成AI(Microsoft 365 Copilot / Copilot Studio)と Power Platform を使った業務改善・内製化支援をしています。作って渡して終わりにせず、担当の方が自分で直せる状態までご一緒します。

「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。