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保守費用が高い。他社に替えたいが替えられない

替えられないのは、たいてい契約ではなくデータと知識の置き場所の問題です。次の契約更新までにやっておくことと、これから作るときの決め方を書きます。

読了 約5分 発注コスト管理ツール選定
  • 毎年の保守費用が、中身のわりに高い気がする
  • 何をしてもらっているのか、説明を求めても要領を得ない
  • 替えたいが、そのシステムを触れるのがその会社しかいない
  • 小さな修正を頼むたびに、都度見積りが来る

替えられない原因は、契約書ではありません。データと知識が、相手側にしか無いことです。ここを取り戻す作業は、契約を切る前にやる必要があります。

まず、何にいくら払っているかを分解する

保守費用が高く感じるのは、中身が分からないからです。1本の金額で請求されていると判断できません。

内訳を聞いてください。ふつうは次に分かれます。

項目中身妥当性の見方
ライセンス・使用料ソフト自体の利用権他社の同等品と比べられる
インフラサーバー、回線クラウドなら実費に近いはず
障害対応止まったときの対応年に何回発生したかを聞く
問い合わせ対応使い方の質問年に何件あったかを聞く
軽微な修正帳票の項目追加など含まれる範囲を明確に
法改正対応税率変更など実際に何を対応したか

「年に何回・何件あったか」を聞くのが効きます。障害ゼロ・問い合わせ3件で年間200万円なら、その内訳は説明されるべきです。逆に、月に何度も助けられているなら、それは妥当な費用かもしれません。

聞き方は、責める形にしない

「高すぎませんか」と切り出すと、話が止まります。「社内で説明を求められているので、内訳を教えてほしい」という聞き方をしてください。実際そのとおりですし、相手も出しやすくなります。

替えられない原因を特定する

次の4つのどれに当てはまるかで、対処が変わります。

1. データが取り出せない

いちばん深刻です。データが自社のものとして取り出せないなら、他の話は全部そこで止まります。

確認すること:

  • CSVまたはExcelで、全データを出力できるか
  • 出力に追加費用がかかるか、いくらか
  • 添付ファイル(PDF、画像)も出せるか

「できます」と口頭で言われたら、一度実際に出してもらってください。やってみたら一部しか出ない、というのはよくあります。

2. 仕組みが分からない

どういう処理をしているかのドキュメントが無い状態です。

  • 画面と項目の一覧
  • 他システムとの連携(何が、いつ、どちらから)
  • バッチ処理(夜間に何が動いているか)

これは請求してよいものです。保守契約の中に「ドキュメントの提供」が含まれていないか確認してください。無いなら、次の更新のときに条件として入れます。

3. 環境が相手のものになっている

サーバーもドメインもアカウントも、相手の名義になっているケース。

  • クラウドの契約名義が自社か
  • 管理者アカウントを自社が持っているか
  • ドメインの管理者が自社か

名義は取り戻せます。契約更新のタイミングで、自社名義に変える交渉をしてください。ここが相手名義だと、揉めたときに止められます。

4. 触れる人が1人しかいない

これは相手側の問題であると同時に、リスクでもあります。その人が辞めたら、相手の会社も対応できません。

聞いてよい質問です。「担当の方が不在のとき、対応できる方は何名いますか」。

次の更新までにやっておくこと

契約を切る・切らないに関わらず、やっておく価値があります。

  1. データを一度、全部出してもらう(そして、そのファイルを自社で保管する)
  2. ドキュメントを揃えてもらう(無ければ、作ってもらう費用を見積もる)
  3. 契約名義を確認し、自社名義に寄せる
  4. 年間の対応実績を出してもらう(件数と内容)

これは「切る準備」ではなく、当たり前の管理です。そう説明して構いません。まともな会社なら応じます。応じない場合、それ自体が判断の材料になります。

切り替えの費用も出しておく

現行の保守費が年200万円で、他社なら年100万円だとしても、移行に500万円かかるなら5年かかって回収です。切り替えの見積りを取らずに「高い」と判断すると、動いたあとで後悔します。現行維持・他社移行・作り直しの3案を、3年総額で比べてくださいシステム導入の稟議が通らない)。

これから作るときに、決めておくこと

同じことを繰り返さないために、次に発注するときは契約の前に確認してください。

契約書か、見積書の備考に書いてもらう項目

  • データは、契約終了後もCSV等で出力できる(費用の有無も明記)
  • 設計書・画面一覧・連携仕様を納品物に含める
  • クラウドの契約名義は自社とする
  • 管理者アカウントは自社が保持する
  • 保守の範囲(何が含まれ、何が別料金か
  • 契約期間と、解約の通知期限

これを最初に言うと、まともな会社は普通に受けます。渋る会社は、その時点で分かるので、それも収穫です。

依頼をまとめるシートを資料室に置いてあります。この項目も入っているので、そのまま渡してもらって構いません。

内製に切り替えるという選択

小さな修正のたびに見積りが来るのが負担なら、その部分だけ自社で触れるようにするという手もあります。

  • 帳票のレイアウト変更
  • マスタの追加・修正
  • 集計の切り口を変える

このあたりは、データさえ取り出せれば自社側でやれることが多いです。基幹システムは触らず、そこからデータを出して Power BI や Excel で見る形にすれば、依頼の半分は消えます。

ただし、全部を内製にしようとしないでください。動いているものは動かしたままにして、周辺だけを自分たちで持つ。この形がいちばん現実的です(研修もやったのに、誰も作らなくなった)。

まとめ

  • 替えられない原因は契約ではなく、データと知識の置き場所
  • 保守費は内訳を聞く。特に「年に何回・何件」
  • 聞き方は責めない。「社内で説明を求められている」でいい
  • 原因は4つ。データが出ない/仕組みが分からない/名義が相手/触れる人が1人
  • データは一度、実際に出してもらう。口頭の「できます」は当てにしない
  • 次の更新までにデータ・ドキュメント・名義・実績を揃える
  • 移行費用を入れて3年総額で比べる
  • 次に発注するときは、出力・納品物・名義・保守範囲・解約期限を書面に
  • 渋る会社なら、その反応自体が判断材料
  • 内製は周辺だけ。基幹は動かさない

まず、データを一度出してもらうところからで構いません。それができる状態なら、選択肢はかなり広がります。

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