- 「PCは何台ありますか」と聞かれて、正確に答えられない
- 誰がどの端末を使っているか、担当者の記憶頼り
- ソフトのライセンスを何本買っているか分からない
- 退職者の端末がどこにあるか分からなくなったことがある
台帳が無いと、この先の話が全部できません。更新の計画も、退職時の回収も、ライセンスの棚卸しも、セキュリティの状況説明も、すべて台帳が前提です。
作るのは1日で終わります。問題は、作ったあと続かないことのほうです。
何を書くか
多すぎると続きません。この10列で足ります。
| 列 | 例 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 管理番号 | PC-0042 | 本体に貼るシールの番号 |
| 種別 | ノートPC | 集計の単位 |
| メーカー・型番 | Lenovo ThinkPad L14 | 修理・調達のとき |
| 製造番号 | PF3ABCDE | 修理と、盗難時の特定 |
| OS・バージョン | Windows 11 24H2 | サポート期限の判断 |
| 使用者 | 営業部 山田 | 回収と、問い合わせの特定 |
| 設置場所 | 本社2F | 棚卸しのとき |
| 購入日 | 2023-04-10 | 更新時期の判断 |
| 状態 | 稼働中/予備/廃棄済 | 実数の把握 |
| 備考 | メモリ増設済 | 何でも |
「購入日」と「OS・バージョン」が肝心です。この2つがあると、いつ何台入れ替える必要があるかが自動的に出ます(サポートが切れたPCが社内に残っている)。
管理番号を決めても、本体に貼っていないと現物と照合できません。テプラで番号を印刷して、本体の見えるところに貼る。これをやるかどうかで、台帳の実用性がまるで変わります。棚卸しが「歩いて番号を読むだけ」になります。
ライセンスは別の表にする
PCの台帳に混ぜないでください。数え方が違うからです。
- PCは台数で数える
- ライセンスはユーザー数かインストール数で数える(製品によって違う)
ライセンスの表に書くのは次です。
| 列 | 例 |
|---|---|
| 製品名 | Microsoft 365 Business Standard |
| 契約数 | 45 |
| 割当済 | 41 |
| 数え方 | ユーザー単位 |
| 契約期間 | 2026-04-01 〜 2027-03-31 |
| 更新月 | 3月 |
| 費用(年) | 810,000円 |
| 購入元 | ◯◯商事 |
「更新月」を入れておくのがおすすめです。更新の1か月前に見直す、という運用ができます。使っていないライセンスを毎年払い続けている会社は珍しくありません(契約しているサービスが把握できていない)。
現物を数える(初回だけ)
台帳を作る初回だけ、実際に数える必要があります。1日で終わります。
手順
- 買った記録から拾う(会計の固定資産台帳、購入伝票、リース契約)
- 管理ツールから拾う(Microsoft Intune、Active Directory、資産管理ツールを入れているなら、そこから一覧を出せます)
- 歩いて数える(1と2に無いもの、1と2にあるが現物が無いもの)
3で必ず差分が出ます。よくあるのは次です。
- 買った記録があるのに、現物が無い(退職者が持ったまま、または廃棄済で記録漏れ)
- 現物があるのに、記録が無い(個人が持ち込んだ、または部署が独自に買った)
この差分を潰すのが、初回の価値です。ここで見つかるものが、いちばん危ない端末です。
Entra ID(旧 Azure AD)から、ユーザーとサインインしている端末の一覧を出せます。まったくゼロから数えるより、ここを出発点にするほうが速いです。ただし、ネットワークにつながっていない端末(工場の制御用など)は出てこないので、そこは歩いて確認してください。
続かない原因は、更新のきっかけが無いこと
台帳が古くなるのは、「変わったときに直す」という運用が守られないからです。人は覚えていません。
きっかけを、既にある手続きに紐づけてください。
| 出来事 | 既にある手続き | 台帳の更新を、ここに紐づける |
|---|---|---|
| 入社 | 入社手続き | 貸与時に台帳へ記入(入社の準備が毎回バタバタする) |
| 退職 | 退職手続き | 回収のチェック欄を、退職チェックリストに入れる |
| 異動 | 異動の連絡 | 使用者の列を書き換える |
| 故障・交換 | 修理の依頼 | 依頼を受けた時点で更新 |
退職のところが最重要です。退職手続きのチェックリストに「PC回収(管理番号:____)」の欄を1行足してください。これだけで、行方不明が激減します。
棚卸しは年1回、半日で
全部を毎年やる必要はありません。
- 年1回、現物の管理番号を読んで照合する(シールが貼ってあれば速い)
- 見つからないものだけ、追跡する
- 廃棄したものを「廃棄済」にする
廃棄の記録を残してください。特に、データを消したかどうか(初期化・物理破壊)。取引先から聞かれることがあります。
誰が持つか
情シスが1人しかいない会社では、総務と分担する形が現実的です。
- 現物と貸与の管理(誰に渡した、返ってきた)→ 総務
- OS・ライセンス・期限の管理 → 情シス
分けるときは、台帳は1つのままにしてください。2つに分かれた瞬間に、一致しなくなります(ひとり情シスで手が回らない)。
まとめ
- 台帳が無いと、更新計画・回収・ライセンス棚卸し・状況説明が全部できない
- 列は10個で足りる。多いと続かない
- 購入日とOSバージョンが肝心。更新計画がここから出る
- 管理番号のシールを本体に貼る。貼らないと照合できない
- ライセンスは別の表。数え方が違う。更新月を入れる
- 初回は、買った記録・管理ツール・歩いて数えるの3つを突き合わせる
- 差分に、いちばん危ない端末がいる
- 続けるコツは、既にある手続きに更新を紐づけること
- 退職チェックリストに「PC回収」の欄を足す。ここが最重要
- 棚卸しは年1回・半日。廃棄の記録(データ消去)も残す
- 総務と分担してよい。ただし台帳は1つ
台帳のひな形を資料室に置いてあります。列はそのまま使えるので、埋めるところから始めてください。
この記事で使うシートを配っています
IT資産台帳(PC・ライセンス)
会社にある端末とライセンスを1枚に並べる台帳です。サポート期限が切れている行と、1年以内に切れる行に自動で色が付きます。ライセンスは割当が契約数を超えると赤くなります。
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「何から手をつければいいか分からない」の段階でも大丈夫です。まずは現状をうかがうところから。