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仕事のファイルが、私物のクラウドに置かれている

個人のGoogleドライブやLINEで、業務のファイルがやりとりされている。禁止しても止まりません。なぜそれを使ったのかを聞くと、たいてい会社側に理由があります。

読了 約5分 セキュリティファイル管理ルール
  • 個人の Google ドライブや Dropbox で、業務のファイルがやりとりされている
  • 取引先とのファイルの受け渡しが、LINEやギガファイル便で行われている
  • 会社のPCから、私物のクラウドにアップロードできてしまう
  • 禁止したいが、現場が困るのは分かっている

禁止から入ると失敗します。私物のクラウドが使われているのは、会社が用意したものが使いにくいか、そもそも用意されていないからです。理由を潰さずに禁止すると、より見えにくい形に移るだけです。

まず、何に使われているかを聞く

責める形にしないでください。「使っている人はいますか」ではなく、「どういう場面で使いましたか」と聞きます。

だいたい、次のどれかです。

場面会社側の理由
大きいファイルを社外に送りたかった添付の容量制限に引っかかる
取引先から「そこに置いて」と言われた相手の指定なので断れない
外出先や自宅から見たかった社外から社内のファイルにアクセスできない
私物のスマホで写真を撮って送りたかった業務用の受け口が無い
会社のツールが使いにくかった使い方を教わっていない

4つ目までは、全部「会社側が用意していない」ことが原因です。用意すれば、私物を使う理由が消えます。

聞くときに、過去は不問にする

「これまでの利用は問いません。どういう場面で必要だったかを教えてください」と最初に言ってください。責める姿勢で聞くと、正直な答えは返ってきません。何に使われたかが分からないほうが、リスクとしては大きいです。

会社側で用意するもの

1. 大きいファイルを社外に渡す手段

OneDrive / SharePoint の共有リンクで足ります。

  • リンクに有効期限を設定できる
  • 相手のメールアドレスを指定して、その人しか開けないようにできる
  • あとからアクセスを取り消せる
  • 誰が開いたかの記録が残る

添付や無料の転送サービスにはできないことばかりです。特に「あとから止められる」は決定的です。

使い方を1枚にまとめて配ってください。設定できることを知らないだけ、という人が多いです。

2. 社外から社内のファイルを見る手段

これが無いと、どうしても私物に逃げます。

  • Microsoft 365 を使っているなら、SharePoint / OneDrive はもともと社外から見られます(ブラウザでも、スマホアプリでも)
  • 制限をかけている場合は、どこまで許すかを決め直す(社給端末からのみ、多要素認証を条件に、など)

「セキュリティのため全部禁止」にすると、業務が回らず、結局私物が使われます。条件付きで許すほうが、結果的に安全ですパスワードだけの運用をやめる)。

3. 社外から受け取る手段

取引先からファイルを受け取るとき、相手のサービスに合わせるしかない場面があります。

「こちらから受け口を出す」形にすると、相手のサービスを使わずに済みます。

ルールは、禁止だけを書かない

「私物のクラウドを禁止する」だけのルールは守られません。代わりに何を使うかを、同じ紙に書いてください。

・社外へのファイル送付   → OneDrive の共有リンク(有効期限を設定)
・社外からの受け取り     → ファイル要求リンク、または Forms
・社外からのアクセス     → 会社の OneDrive / SharePoint(多要素認証あり)
・現場からの写真         → 業務用フォーム

・上記で対応できない場面が出たら、禁止する前に情シスへ相談してください。
 新しい手段を用意します。

最後の1行が要点です。これがないと、対応できない場面に出くわした人が、黙って私物を使います。

技術的に止めるかどうか

止めることはできます。ただし、順番を間違えないでください。

  • 会社のPCから特定のサイトへのアクセスを止める(プロキシ、フィルタリング)
  • クラウドアプリの利用状況を見える化する(Defender for Cloud Apps など)

代わりの手段を用意する前にブロックすると、業務が止まって、例外申請の対応に追われます。用意 → 周知 → しばらく様子を見る → それでも残るものをブロック、の順です。

見える化だけ先にやるのは有効です

ブロックせずに「何が使われているか」を見るだけなら、業務は止まりません。実態が分かると、用意すべきものが決まります。ライセンスに含まれている場合があるので、契約内容を確認してから検討してください(追加費用なしでどこまでできるのか)。

退職のときが、いちばん危ない

私物のクラウドに業務ファイルがある状態で人が辞めると、回収する手段がありません。

退職手続きに、次を入れてください。

  • 業務のファイルを個人の保存先に置いていないか、本人に確認する(チェック欄)
  • 置いていた場合は、会社の保存先に移してから削除してもらう
  • 私物のスマホに業務の写真やデータが残っていないか確認する

確認したという記録を残してください。言った言わないになります(退職者のアカウントが残っている)。

取引先から指定された場合

「うちのサービスに置いてください」と言われることがあります。断りにくい場面です。

  • 会社として許可する先を決めておく(このサービスならよい、という一覧)
  • 一覧にないサービスを指定されたら、情シスに相談する
  • 相談を受ける側は、代わりの提案を用意する(「こちらのリンクから送っていただけますか」)

「相手が指定したから」で個別に判断していると、把握できないまま増えます。一覧を1つ作るところから始めてください。

まとめ

  • 禁止から入ると、より見えにくい形に移るだけ
  • まずどういう場面で使ったかを聞く。過去は不問にする
  • 理由の大半は会社が用意していないこと
  • 社外への送付は共有リンク。有効期限・宛先指定・あとから止められる
  • 社外からのアクセスを全部禁止しない。条件付きで許すほうが安全
  • 受け取りはファイル要求リンクフォーム。こちらから受け口を出す
  • ルールに代わりに使うものを書く。「相談してください」の1行を入れる
  • 技術的なブロックは代替を用意してから。見える化だけ先は有効
  • 退職手続きに、私物の保存先の確認を入れる
  • 取引先の指定に備えて、許可するサービスの一覧を作る

まず、大きいファイルを社外に送る方法を1枚にまとめて配ってください。それだけで、いちばん多い場面が減ります。

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