- Power BI を契約したが、何を作ればいいか決まらない
- 作ってはみたが、最初の1週間しか見られなかった
- Excelでできることを、わざわざ作り直しただけになっている
- 数字は出せるが、「で、どうするの」と聞かれて答えられない
原因ははっきりしています。見たあとに何をするかが決まっていない数字を並べているからです。きれいなグラフは、見る理由になりません。
最初に決めるのは、グラフではなく「誰が・いつ見るか」
作り始める前に、この3つを埋めてください。埋まらないなら、まだ作る段階ではありません。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 誰が見るか | 営業部長 |
| いつ見るか | 毎週月曜の朝会の前 |
| 見て何をするか | 未訪問が2週間を超えた顧客を、担当に割り振る |
3行目が肝心です。ここが「状況を把握する」だと、まず見られなくなります。把握は行動ではありません。
逆に、3行目が具体的なら、必要な数字は自動的に決まります。上の例なら、載せるべきは「最終訪問日からの経過日数が長い顧客の一覧」です。売上の推移グラフは要りません。
情報を詰めるほど見られなくなります。画面をスクロールしないと全部見えないダッシュボードは、上の3つしか見られません。最初は5つ以下にしてください。足りなければ、あとから2枚目を作ります。
「そのExcelでいいのでは」を先に検討する
Power BI が向くのは、次のどれかに当てはまるときです。
- 元データが複数ある(販売管理と会計と勤怠を突き合わせたい)
- 件数が多い(Excelが重い。数十万行以上)
- 毎日・毎週、同じ形で見たい(自動で更新させたい)
- 見る人が多い(配って回るのをやめたい)
どれにも当てはまらないなら、Excelのピボットで足ります。月1回、1つのファイルから集計するだけなら、Power BI にする理由はありません(Excelの関数で足りることも多いです)。
「新しいツールだから」で始めると、維持する人がいなくなって止まります。
元データが8割です
ここを軽く見ると必ず詰まります。Power BI が難しいのではなく、元データが整っていないと何も作れないというだけです。
必要なのはこの3つです。
1. 1行1件になっている
1つのセルに複数の値が入っていたり、月ごとに列が横に伸びていたりすると、そのままでは使えません。縦に長い形(日付・区分・値)に直します。
2. コードで結べる
「取引先名」で結ぶと、表記ゆれで結べません。取引先コードが両方の表に入っている必要があります。入っていないなら、そこを先に作ります(社員名簿や取引先一覧が部署ごとにある)。
3. 日付の列が、日付になっている
2026/8/29 という文字列ではなく、日付型であること。ここが崩れていると、月別集計ができません。
この3つが揃っていないなら、ダッシュボードを作る前にそちらが仕事です。急がば回れです。
最初の1枚に載せるもの
型としては、この4つで足ります。
- いちばん上に、数字を3つ(今月の合計、前月比、目標に対する進捗)
- 推移を1つ(折れ線。月次か週次)
- 内訳を1つ(棒。多くても10項目まで)
- 明細の一覧(クリックしたら中身が見える)
4番を必ず入れてください。「なぜこの数字なのか」を確かめられないダッシュボードは、信用されません。数字が意外だったときに、その場で中身を見られることが大事です。
円グラフは避けてください。項目が4つを超えると読めなくなります。棒グラフのほうが正確に比べられます。
赤・黄・緑を「見た目」で使わず、基準に対してどうかで使ってください。「目標未達なら赤」のように、条件で色が変わる形にします。基準がないのに色が付いていると、見る人が意味を推測することになります。
更新をどうするか
ここを決めずに公開すると、1か月後に古い数字が表示されたままになります。
- 元データが SharePoint / Dataverse / SQL にある → 自動更新できます(Power BI サービスのスケジュール更新)
- 元データが個人のPCのExcel → 自動更新できません。その人が開いて更新するまで止まります
元データを、個人のPCから出してください。SharePointのドキュメントライブラリに置くだけでも、自動更新の対象になります。
更新の頻度は、見る頻度に合わせてください。週1で見るものを1時間ごとに更新する必要はありません。
続くかどうかは、公開後の3週間で決まります
作ったあとにやることが2つあります。
1. 見られているかを確認する
Power BI には利用状況の指標があります。公開して3週間後に、閲覧数を見てください。
- 見られている → その人に「何が足りないか」を聞いて足す
- 見られていない → 作ったものが違ったということです。足すのではなく、載せる数字を替える
見られていないダッシュボードに機能を足しても、見られるようにはなりません。
2. 会議で「これを開く」と決める
いちばん効くのはこれです。定例会議の資料を作るのをやめて、その場でダッシュボードを開く。
資料を別に作っている限り、ダッシュボードは「おまけ」のままです。資料作りを置き換えたときに、初めて維持される理由ができます(毎月の定例報告資料に3日かかっている、を削る)。
ライセンスの話
- Power BI Desktop(作る側)は無料です
- 作ったものを他人に見せるには、見る人にもライセンスが要ります(Pro など)
- Microsoft 365 のプランに含まれている場合があるので、買う前に確認してください(追加費用なしでどこまでできるのか)
まず1枚作って、自分の画面で見せるところまでは無料でできます。配る段階で初めて費用の話になるので、先に作ってから判断してください。
まとめ
- 決めるのは誰が・いつ見て・見て何をするか。3つ目が「把握する」なら作らない
- 1枚に載せるのは5つ以下
- 月1回・1ファイルならExcelのピボットで足りる
- 元データが8割。1行1件・コードで結べる・日付が日付型
- 型は数字3つ/推移/内訳/明細一覧。明細を必ず入れる
- 円グラフは避ける。色は基準に対してどうかで使う
- 元データを個人のPCから出す。でないと自動更新できない
- 公開3週間後に閲覧数を見る。見られていないなら中身を替える
- 定例会議の資料作りを置き換えると続く
- 作るのは無料。配る段階でライセンスの確認
まず「見て何をするか」の1行を書いてみてください。そこが書ければ、載せる数字は自然に決まります。
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