- 受注も問い合わせも、いまだにFAXで届く
- 届いたFAXを、担当者に配って回っている
- 紙で来たものを、Excelに手入力している
- 送るときも、印刷して、機械の前に立って、送信確認を待っている
「FAXをやめよう」と言っても、相手が使っている限りやめられません。ここで止まっている会社が多いです。
ただし、相手を変えなくても、自社の中の手間はほぼ消せます。やるのは2つだけです。
1. 受信を、紙ではなくPDFにする
FAXを紙で出さずに、メールやフォルダにPDFで受けるようにします。
方法は3つあります。
| 方法 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 複合機の機能を使う | 今の複合機に「FAX受信をメール転送」の機能があることが多い | 追加費用なし(設定だけ) |
| インターネットFAXに切り替える | FAX番号をサービスに移し、PDFがメールで届く | 月額数千円 |
| FAX回線とサーバーを自社で | 自由度は高いが手間も大きい | — |
まず1番を確認してください。すでにある複合機に機能が入っていて、設定していないだけ、というのがよくあります。販売店に「FAX受信をメールに転送できますか」と聞くだけです。
転送先は、個人宛てにしない
ここが要点です。共有のメールボックスか、SharePointのフォルダに届くようにしてください。
個人のメールに転送すると、その人が休みのときに止まります。受信箱を共有にすると、誰でも見られて、対応済みかどうかも分かります(メールで来た依頼が埋もれて対応漏れになる)。
いきなり紙の出力を止めると、「届いていない」という騒ぎが起きます。1か月は紙とPDFの両方にして、PDFで運用が回ることを確認してから紙を止めてください。
2. 送信を、PCからにする
複合機の多くは、PCから印刷するのと同じ操作でFAXを送れます。プリンタの一覧に「FAX」が出ていないか確認してください。
これができると、次が消えます。
- 印刷する
- 機械の前まで歩く
- 番号を押す(押し間違いの事故も消えます)
- 送信確認の紙を待つ
- 送った紙をファイルに綴じる
送信の記録も、PC側に残ります。誤送信の防止という意味でも効きます。手で番号を押すと、1桁違いで別の会社に送ってしまう事故が起きます。
手入力をどうするか
PDFで受けても、中身をExcelに入れる作業は残ります。ここが本丸です。
段階1:入力しやすくする(今週できる)
- PDFを2画面で開いて、片側に入力画面を出す(紙を見ながらより速い)
- 入力項目の並び順を、FAXの用紙の並びに合わせる
地味ですが、これだけで入力速度が変わります。紙の並びと画面の並びが違うと、目が往復して時間がかかります。
段階2:文字を読み取る
FAXは画質が悪く、手書きも多いので、読み取りの精度は期待しすぎないでください。
- 定型の注文書で、印字されているもの → 読み取れることが多い
- 手書き、汚れ、傾き → 精度が落ちる
「読み取ったあと、人が確認する」前提にしてください。全自動にすると、間違いに気づけません。読み取り結果を画面に出して、担当者が見て直す形が現実的です。
段階3:そもそも入力しなくていい形にする
いちばん効くのはここです。取引先の1社ずつに、別の受け方を用意する。
- Webの注文フォームを用意して、「こちらからでも受け付けます」と案内する
- Excelの注文書をメールで送ってもらう形にする
全社を一度に変える必要はありません。件数の多い上位5社に声をかけるだけで、手入力の量はかなり減ります。
取引先ごとのFAX受信件数を、1か月だけ数えてください。だいたい上位2〜3割の取引先で、件数の7割を占めます。そこにだけ話をすればいいので、思ったより現実的な話になります(社外からの問い合わせをフォームで受けたい)。
相手に切り替えてもらうときの言い方
「FAXをやめてください」ではなく、相手の利点を先に言ってください。
注文をWebのフォームからも受け付けられるようにしました。送信の控えが残り、受付の確認メールがすぐ届きます。FAXも今までどおり受け付けます。
「FAXも今までどおり」と必ず添えてください。取り上げられると感じると、断られます。選択肢を増やす形にすると、意外と移ってくれます。
移ってもらえたら、その会社には次から「フォームのほうが早いです」と案内する。1社ずつ増やしていきます。
電話も同じ考え方で
FAXと同じ構造の話が、電話にもあります。
- 電話で来た依頼を、口頭で受けて紙にメモしている
- 記録が残らず、言った・言わないになる
- 担当者が不在だと、伝言のやりとりが発生する
対処も同じです。別の入口を用意して、選べるようにする。
- 問い合わせフォームを用意する
- よくある質問を、電話しなくても分かる場所に置く(社内なら Teams、社外ならWeb)
電話を減らす近道は、電話しなくても分かる状態を作ることです(電話が鳴り続けて作業にならない)。
保存の話
FAXで届いた注文書や請求書は、電子取引のデータに当たる場合があります。
- 紙で届いたFAX → 紙のまま保存で構いません
- PDFで受信したFAX → 電子取引データとして、電子のまま保存が必要になり得ます
複合機でメール転送に切り替えた瞬間に、扱いが変わる可能性があります。切り替える前に、保存の置き場所を決めておいてください(メールで届いた請求書を、印刷して保存していませんか)。判断は顧問税理士に確認してください。
まとめ
- 相手は変えられなくても、自社の中の手間は先に消せる
- 受信をPDFに。まず今の複合機の機能を確認する(追加費用なしのことが多い)
- 転送先は個人ではなく共有のメールボックスかフォルダ
- 紙を止める前に1か月は両方
- 送信はPCから。印刷・歩く・番号押し・控えの綴じが全部消える
- 手入力は、まず画面の並びを用紙に合わせる
- 読み取りは人が確認する前提で。全自動にしない
- 件数の上位5社にだけ、別の受け方を案内する
- 言い方は「FAXも今までどおり受け付けます」を必ず添える
- 電話も同じ。電話しなくても分かる状態を作る
- PDF受信に変えると保存の扱いが変わることがある。先に置き場所を決める
まず、複合機の販売店に「FAX受信をメールに転送できますか」と聞いてみてください。できるなら、来週から紙の山が減ります。
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